野田聖子の乳児院視察に「苦笑」

野田聖子が「代理出産禁止」に反発しているのは毎度のことではあるのだが、最新メールマガジンで養子制度と絡めて語っているのには「苦笑い」。


乳児院を訪問し、可哀想な0歳児をみて、曰く

思わず、「連れて帰って私が育てたいんですけど、ダメですよね・・・」と佐久間先生に申し上げると、先生も困ったような顔で苦笑い。

そりゃぁ、先生も苦笑いするしかないだろう。
自民党の有力女性政治家なんだから、もうすこしマシな対応が有ると期待していたんだろうになぁ。
「同情するならこれを読め」という気持ちだったのではないか?

里親制度の充実に向けた緊急要望書
http://foster-family.jp/data-room/jiken/utsunomiya/021208kinkyu-yobosho.html

東京都養育家庭連絡会が厚生労働大臣坂口力(当時)宛てに出した要望書です。
平成14年に養育里親が3歳の女の子を殴って死なせてしまった事件を契機に、問題点・改善点の提言・要望が書かれている。


それなりに信頼して預けた育児のベテラン・プロと思われる養育者でも苦労するケースが多い。
この事件を教訓にして、東京都養育家庭連絡会は以下のような厚生労働大臣に要望している。

  1. 乳幼児は原則里親委託とする委託基準を定め、乳幼児専門里親を設置してください。
  2. 里親への研修をより充実させるとともに、研修の定期的な受講を義務づけてください。
  3. 児童相談所を強化し、里親家庭への訪問期間を基準化するなど、里親への支援体制を充実させてください。
  4. 里親に対するレスパイトケアを充実させてください。
  5. 子どもの権利条約」第20条に基づき、家庭環境で育つことができる子どもを増やしてください。
  6. 子どもの権利条約」第12条に定める「子どもの意見表明権」を具体化する仕組みを構築してください。
  7. 里親制度への市民の理解と促進を図るために、大々的な広報・啓発活動を行ってください。


野田聖子は、自身が「養親になれない理由」を嘆くばかり。 可哀想とか、自分なら育てられる、みたいな「善意」や「母性本能」や「意欲」をアピールしたところで、問題は解決しないだろう。
政治家として、この要望書にどう答えるかが問われているはず。
乳幼児専門里親の設置を訴えているところへ行って、いきなり0歳児を引き取りたいといったって、苦笑いされるだけ。

以前に養子を考えたときに調べた際に、私がこの国では養親になれない理由は、たかだかそんなことに過ぎないことを知りました。

たかだかそんな理由」と、あっさり切って捨てる無神経さにウンザリする。



それにしても…野田聖子乳児院への視線って「養子候補の子供がいっぱいいる場所」じゃないのか??

全国乳児福祉協議会サイトより
http://www.nyujiin.gr.jp/nyujiin/in-out.html

 また、乳児院から養護施設に移った子どもたちを追跡調査した結果、その約半数は幼児期に家庭に帰っていることがわかりました。つまり、乳児院に入ってきた子どもたちの約80%が、結果的に乳幼児期に家庭復帰していることになります。

20%の家庭復帰できない子供のことは、そりゃぁ大変なんだけれど…
このメルマガの書き方だと、乳児院のイメージを誤って伝えることになるのじゃないか?
読者に「乳児院には捨て子がいっぱいいる」ような印象を与えかねない書き方だ。



あと、親権についてはどう考えているのだろうか?
各地の乳児院・養護施設は定員一杯だけど、親のいない子どもは少ない。つまり、親が養子に出してもいいという子どもは少ない。
育児放棄・幼児虐待をする親でも、子どもの親権は手放さないケースがほとんど。
日本では実親の親権が強いので、乳児院・養護施設の子供との養子縁組はかなり難しく、競争率も高かったはず。



「赤ちゃんが欲しい」という気持ちだけは伝わるけれど、政治家としてどうするかがまるで見えてこないメルマガだ。



乳児院の部分のみ転載

野田聖子公式メールマガジン「キャサリン通信」第89号(2008.2.1)
http://archive.mag2.com/0000127727/20080201232853000.html
昨年末、そろそろ師走の慌ただしさが実感され始め、また、永田町では
国会会期末を翌日に控えていた12月14日、私は中野区にある聖オディ
リアホーム乳児院を訪れました。施設長の佐久間佳子先生の引率で院内を
歩かせていただき、故あって実親が養育できず、施設に預けられた生後間
もない赤ちゃんから3歳児までの乳幼児60名の生活の様子を見て回りま
した。一人の棄児を除く全員に実親がいるものの、心身の病気のために、
あるいは未婚で産んでしまったために、その他さまざまな理由で、その
お父さん、お母さんはこの小さな命を養育できないというのです。


覚醒剤で体を蝕まれた母親が産んだ女の子がいました。1才になるその子
は、どうみても生後数ヶ月にしか見えない小さな体で、ひどくやせ細って
いました。ちょうど授乳の時間で、保育士の女性が優しく抱きかかえほ乳
瓶から少しずつミルクを与えていたのですが、その女の子は施設に連れて
こられた当初、ミルクを飲む力がまったくなかったそうです。


0歳児の赤ちゃんの部屋に入ると、私はそれだけで切ない思いになりました。
赤ちゃん特有のおっぱい臭さが部屋中に充満していて、赤ちゃんはすやすや
お昼寝中。その中に、近くの公園に棄てられていたという男の子がいました。
今風と言うより「日本人の赤ちゃん!」という感じの顔つきの、まるまると
太ったその子を、どうして親が棄てることができたのか、親になったことの
ない私にはまったくわかりません。思わず、「連れて帰って私が育てたいん
ですけど、ダメですよね・・・」と佐久間先生に申し上げると、先生も困った
ような顔で苦笑い。


私がこの男の子をどんなに真面目な気持ちで、親として育てたいと願い、申し
出ても、今の日本はそれをかなえてはくれません。私が独身で、40才以上で、
フルタイムの仕事をもっていて・・・以前に養子を考えたときに調べた際に、
私がこの国では養親になれない理由は、たかだかそんなことに過ぎないことを
知りました。別に法律で規定されているわけでもないこのルールに、私は
理不尽さを感じずにはいられません。せっかく宿った命を大切に、心をこめて
一人のかけがえのない人間に育てていくことをそれほど真剣に考えていない
社会のように思えてなりません。