菅義偉を語るなら、矢口高雄の漫画を読め!

菅義偉氏が政界引退

首相退陣を表明した2021年9月に緊急発売された「スガちゃんまんじゅう」

菅内閣発足直後の内閣支持率は74%と歴代3位の高さだった。

読売新聞は高支持率を3つのファクターによるのでないかと分析している。
「安倍ファクター 」安倍前内閣を継承
「 実績・危機管理ファクター 」コロナ対策・オリンピック対応への期待
「 人柄ファクター 」世襲ではない秋田の農家出身のたたき上げ

菅内閣の支持率はどこへ消えたのか――世論調査で謎を読み解く【下】
https://www.yomiuri.co.jp/column/opinionpoll/20210922-OYT8T50071/

 

しかし内閣支持率は落ちていく。

 

読売新聞社は、菅首相の退陣表明の翌日から2日間で緊急世論調査を実施した。
結果は前回8月調査の35%から31%に下がり、発足以降の最低記録を更新した。

 ただ、菅内閣の1年の実績の評価を聞くと、評価する人は、「大いに」9%、「多少は」46%で、合わせて55%が肯定的な回答だった。実績は評価されているのに、支持率は下がる。どういうわけか。

https://www.yomiuri.co.jp/column/opinionpoll/20210922-OYT8T50058/

 

 21年に入ると菅首相の資質評価はガラリと変化した。20年10~11月調査では菅首相指導力を64%が評価しており、安倍氏の67%に匹敵する高さだったが、21年1~2月調査では29%とわずか3か月で半分以下になった。新型コロナ対応にもたつく政府への不満などから、有権者の目には「安倍氏の高い指導力は『継承』できなかった」と映った。同様に、評価が高かった危機管理能力は、58%から25%に下がった。ただ、「誠実さ」や「親しみやすさ」などの人柄面では、それほどの低下はみられなかった。このときの内閣支持率は3割台まで低下していた(1月、2月とも39%)。

 

菅内閣の支持率はどこへ消えたのか――世論調査で謎を読み解く【下】 : 読売新聞

 

”「誠実さ」や「親しみやすさ」などの人柄面では、それほどの低下はみられなかった。”

という評価は、今回の政界引退表明でも感じられた。

 

そういう評価に異を唱える人は当然いるわけで、主に引用されるのはこの本。

 

帯の惹句

父は秋田のいちご王。

放蕩息子は”苦労人”の仮面を被ったー

「庶民宰相」の虚飾を暴く。

「いちご王」というのは、いちご出荷組合を立ち上げて最盛期の年商が3億円以上、構成農家が100戸以上だったから、ということらしい。

単純計算すると3億÷百=300万。 年商300万円で経費やら何やら引くと… という規模の農家の集まりなのだろう。 

地域のリーダーで名士で、他にも事業立ち上げた成功者ではあるが、これで王様で、その息子だから王子様、放蕩息子、庶民じゃないとは誇張がすぎる。

辞書的な意味で庶民の対義語は貴族・特権階級だからといいたいのだろうが、「地方の資産家」でいいのじゃないか。

 

菅義偉の生い立ちについては、同郷のマンガ家矢口高雄の作品が参考になる

 

【大合本版…『おらが村』1巻~4巻までの全巻を収録した大ボリュームシリーズ】《作品内容》奥羽山脈がそびえる東北地方の片隅に、その村はある。人口はわずかに四十戸たらず、店は雑貨屋が一軒っきりで、鉄道もなく医者もいない。おまけに冬になれば雪に閉ざされてしまう辺ぴな土地……。しかし、ここは「おらが村」。代々営んできた暮らしがあり、深みのある人生がある。都会人が忘れてしまった「故郷」の鼓動、そして生活……矢口高雄先生が描くライフワーク的作品であり極上のヒューマン・ドラマシリーズ、ここに堂々の開幕! 村会議員・高山政太郎とその家族を中心にすえ、大小さまざまな事件がつづられる。クマ撃ちの武勇伝や、キツネ憑き騒動、ハタハタ談義で解決するもめ事、等々。それぞれの局面で政太郎はおうように構え、ときにはジッと沈黙して「おらが村」の来し方行く末に思いをはせるのだった。大合本版:全巻収録! ※単巻、他合本シリーズとの重複購入にご注意ください※

 

おらが村

「週刊漫画アクション」 (双葉社) 1973年11月15日号~1975年4月3日号

釣りキチ三平」とほぼ同時期に連載されていた。

1973年の「現在」を描いている作品。

 

1974年の正月風景。 長男と3男が帰省している場面

おらが村 囲炉裏の章 5 寒春 p121

おらが村 囲炉裏の章 5 寒春 p122

漫画の設定

父親 55 村会議員2期目
母  50 専業主婦
長男 28 跡取り息子 独身 農閑期の出稼ぎ先はダンボール工場
次男 24 機動隊勤務
長女 21 吉祥寺の靴店に勤務
三男 19 横浜市の運送店に勤務
次女 16 高校1年生*1

 

1974年当時の菅家 (満年齢だから1才引く必要があるかな)
父 56 村会議員3期目
姉 29才と30才 高校教員 地元・実家にいたかは不明
長男:義偉 26才 大卒から1年、就職して1年目。 まだ政治家を志す前。
次男 たぶん大学生

 

家族の年齢とか村会議員・ダンボール工場・横浜とか、菅義偉を語る上でのキーワードがかぶる。 モデルにしたのじゃないか? と疑うレベルだ。

出稼ぎ問題・若者の都市への流出・農家の嫁不足・減反政策などが裏のテーマになっている。

 

ついでに読んだほうがいい漫画

高卒後に地元地方銀行で働いた経験をマンガ化した、自伝的作品。

1960年代の地方都市の人間模様が興味深い。

2巻には地方の資産家が登場している。

 

「庶民」論争で不毛に感じたのは、1918年生まれの田中角栄を基準としていた事だな。

1970年代以降は「1億層中流」の時代で、「庶民」という概念も曖昧になってしまった。

 

 

アウトロー(1976)の字幕

今年9月5日NHKBSで放映されたのを、いまさらながら最後だけ視聴した。
ラストシーンの字幕が、もしかして新訳になっていないかな? とかすかに期待していたが…
そのままだった。
最初の字幕をずっと踏襲しているのだろう。

 

I guess we all died a little in that damned war

皆 戦争の犠牲者だ

 

なんか、コレじゃない感の、日本では名言に成りきれなかったセリフだとずっと思ってる。
「犠牲者」に、特に違和感が有る。 
died とか damned  などの強い言葉を活かしてほしかった。
もっと殺伐というか即物的に訳したり、二行にしてもイイのじゃないか、とかいろいろ

 

googleのAIに訳してもらう。


我々は皆、あの忌々しい戦争で少しは死んだようだ。
あの忌まわしき戦争で、我々は皆少しずつ死んだのだ。
あの悲惨な戦争で、俺たち全員、少しは変わっちまっただろう。
あの忌々しい戦争で、俺たちゃあ、皆とっくに死んでたんだよ……
あの忌まわしき戦役において、我々は皆、命の灯火を幾許か失った。

 

DeepLではこうなった。

 

あの忌々しい戦争で俺たちは皆、少し死んだんだろう
あの忌々しい戦争で、俺たちは皆、少しだけ死んだんだ
あの忌々しい戦争で、我々は皆少し死んだのだろう

 


「あのクソ戦争で みんな 少し 死んでしまったのさ」

「みんな クソ戦争の くたばり損ないさ」

 

とか考えてみたが、あんまりしっくりこない

 

 

 

イーストウッド監督作としては5作目。 最初はフィリップ・カウフマンが脚本・監督していたがイーストウッドに解任されるゴタゴタがあった。


映画公開当時、米国では商業的にも成功しているようだが、日本ではどうだったろう?
アメリカ建国200年記念として製作された映画だけど、「ロッキー」の影に隠れたような印象。 今さら西部劇? という雰囲気だった。

 

私は、この映画を「許されざる者」(1992)関連で、公開からかなり後になってから観たはず。
西部劇と言われていたけど「どこが?」というのが第一印象。  西部劇で連想される牛泥棒・銀行強盗・列車強盗・保安官などは出てこない。

1860年代なかばの南北戦争末期から終戦後の話で、「風と共に去りぬ」とか「若草物語」と同じ時間軸だ。
「続・夕日のガンマン」も同じ時間軸だから、まぁ西部劇なのだろうが…
南北戦争映画として観るべきだろう。

 

イーストウッド監督作品には「戦争で傷ついた男」を描いているシリーズがあるけれど、その最初期の作品だ。*1

 

*1:ファイヤーフォックス(1982) 父親たちの星条旗(2006)アメリカン・スナイパー(2014)

 グラン・トリノ(2008)も含めて良いかも。

母親との関係に注目 【推しの子】二人のエチュード

後日譚を期待して読んだのだが、前日譚がメインの小説だった。

 

2.5次元舞台編と映画編の個人オーディションの要素を解体・再構成している感じ。

 

興味深かったのが、黒川あかねと有馬かなの、マンガでは描かれなかった裏設定かな。

マンガの外伝というより、実写ドラマ・映画版の外伝のようにも感じた。

 

有馬かなのほうは、マンガでさらっと触れられていた「親も ちょっとアレだったしな」が詳しく描写されている。

14巻 135話 傍

マンガの方で、有馬かなの母娘関係まで描き込んだら、あまりにクドくなってしまいそうだ。

 

黒川あかねがプロファイリング能力を獲得した経緯と、その能力の限界についての描写も興味深い。

 

以下 ネタバレ全開

 

映画版では不知火フリルは名前のみの登場なので、私的オーディションは無くなっている。  そのために映画版は、あかねが母親に捨てられた娘の気持ちをつかみきれなくて、ルビーに演技を見てもらうというシーンに改変されてる。

マンガ版のルビーの苦悩を、映画版ではあかねが担うことになった。 黒川あかねの家族関係は良好なので、母親に捨てられた子供の心がわからない。

マンガ版では完璧にアイの思考までトレースしている感じだけど、映画版では解釈違いをルビーに指摘されていた。 

あかねのアイ解釈に納得できないルビーが、自分こそアイを演じるべきだと決意することになるという、うまい改変に成っている。

 

映画版の、アカネのプロファイル能力の限界についての解説、という読み方をしてしまった。

マンガ版の外伝というよりも、実写映画の延長線にある小説じゃないかと感じる理由だ。

 

片寄ゆらとは何だったのか【推しの子】

片寄ゆらはマンガでは11巻109話で登場。 

というか、本人はこの話だけしかでてこない。

11巻109話

アニメだと第2シーズン最終話の24話ラストに、原作より先回りで登場している。

実写版でも名前が出てくる、それなりに鍵となる人物っぽい。

 

五反田監督のパソコンに「hajimari」「hikaru」「hoshino」「aqua」と4つのフォルダが有るのを映し出されたのが、アニメの15話。

第3シーズンは、そこあたりの伏線回収をするのだろう。 ということは「映画編」をやって、そして最後までやるのだろうなぁ。

 

以下、ネタバレ全開。

 

「15年の嘘」のキャスト案の変遷。

 

11巻110話

 

 

12巻112話

鏑木Pのイチオシだったのが片寄ゆら。

実写版でヒロインを演じたのは齋藤飛鳥で、彼女は撮影当時26歳。 年齢的には問題ない、と鏑木Pは考えているのだろう。

もし存命だったらヒロイン役を受けたのだろうか? 

 

「15年の嘘」のキャスティングで不自然なのは不知火フリル。 最初はマネージャー役=斉藤ミヤコ役をオファーされ、最終的に姫川愛梨役を演じることになる。 ミヤコさんは20代後半の設定だし、実写で姫川愛梨役を演じた片山萌美は34才だった。

実年齢はアクア・ルビーと同じはずなので不自然すぎる。*1

14巻 139話 ルッキズム



 

不知火フリルが半裸でうろついてたとき撮影したと思われるシーン。

14巻 第140話 正しいですか?

コミック中の映画で、これをアクアとフリルが演じてるわけだけど、難易度が高すぎるんじゃないのか? 役者の実年齢がお互い18才で、設定が中学生男子とアラサー子持ちだぞ。

 

姫川愛梨役を演じるキャラとして構想されていたのが、25歳の片寄ゆらなのではないか?

カミキヒカルが姫川愛梨役の女優を殺害するのは、物語的の構造的に正しいのだろう。

 

 

 

 

 
 

 

 

*1:

リアタイでマンガを読んでいたときは、同級生つながりで寿みなみと一緒にB小町メンバー役をやるのじゃないかと予想していた。 

ドーム公演の特別ゲストに黒川あかね・不知火フリル・寿みなみが参加し、1曲披露するのではないか、とかまで妄想済。

 

 

子役・元子役たちが活躍する【推しの子】(実写)

子役、元子役が大集合なキャスティングだった。

 

 


子役は星野家の3人、アイ・アクア・ルビー。 天童寺さりな、有馬かな、黒川あかねの6人。

アクアの子役デビューからアイの死までの期間を、撮影時に9〜10才だった子役たちが演じている。
そのため時系列の再構成をしているが、これが良い改変になっている。
漫画版で時系列を考察してるサイトをいくつか見たけれど、みな苦労していたからなぁ。

 

アイの子供時代は映画オリジナル。 コミック1巻でのセリフ、「殴られるより 施設のほうが ましに思えるし」を映像化している。

【推しの子】1巻 172P

若い頃のアイの母親・星野あゆみに剛力彩芽を持ってきたのには驚いた。

やっと、正しい剛力彩芽の使い方が定着してきたなぁ、と感慨深い。*1

 

 

 

元子役というか、子役出身の役者を、多分意識的に起用しているのだろう。


有馬かな        原菜乃華
吉祥寺頼子    安達祐実        母親のステージママ活動や、母親自身の芸能活動も話題になった。 有馬かなのモデルの一人
鮫島アビ子    志田未来        かつての主演ドラマ「14才の母」が、微妙にテーマに関係してる
金田一敏郎    尾美としのり    劇団ひまわり出身で小学生の頃から芸能活動してる。 マンガ原作実写映画として、いろいろな意味で伝説となった「火の鳥*2翔んだカップル*3に出演


子役出身というわけではないけど、ちょっと面白い配役として、雨宮吾郎の同僚看護婦として初めて役名が与えられた川村恵理子役の濱田マリ。 けっこう重要な役回りを担っている。

彼女が20代の頃の1990年代にモダンチョキチョキズでバンド活動してたのを覚えてる。 あんまり詳しく知らないけれど、MEMちょ役のあの女史と印象がかぶる。

 

 

適材適所なキャスティング、というだけではなく役者たちのキャリアが作品のテーマを浮き彫りにするような効果をもたらしている。

*1:極悪女王(2024年Netflixライオネス飛鳥 役はよかった。無理やり主役に据えるのではなく、あえて脇で使うと効果的。

*2:1978年 超一流スタッフとオールスターキャストの超大作で、公開当時に観ているはずだが記憶から消えてる。 この映画以降、マンガの実写化(特にSF)には期待しなくなったのかもしれない。

 

*3:1980年、相米慎二監督の初監督作。独特な作風なのに、なぜかアイドル映画として成功してしまう。 配信がないのが意外。 相米監督追悼なかんじで去年放映されてた。

 

【推しの子】にハマった

アニメ第3期の年明け放映決定で、いろいろ」キャンペーン中。

ichigoproduction.com

 

完結して1年もたったマンガについての考察を書くのも時期を外してるような気もするけど、まぁそれでも書き留めておこう。

 

私が実写版を観たのは、今年のはじめころ。
ドハマりしてしまい、関連公式動画を観まくり、コミック全巻揃え、小説を買い、映画のノベライズまでも買ってしまった。

映画ノベライズまで買ってしまったのは、映画版の内容で確認したかった所があったため。
コミック完結後に出た「二人のエチュード」も、どちらかというと実写ドラマ・映画の補完という感覚で読んでしまったかもしれない。
そんなわけで、まぁ、あれこれ書いていこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映画「見える子ちゃん」ホラーというより怪談っぽい

 

そんなに怖くないという評判をみたので視聴。

 

原作漫画のような化け物っぽいヤツは出てこない。 幽霊とか地縛霊が出てくる怪談風味だった。

1本の映画として、きれいにまとまった、観たあとに嫌な気分にならない佳作。

 

主役は原菜乃華。 ロングヘアーがキラキラしてる。

やっと、待望の単独主演のヒロイン役ができて良かった。

 

 

原菜乃華を実写番「推しの子」でやっと認識したのだが、経歴を確認すると子役時代を見ていた。

実写映画「3月のライオン( 2017年)」の 幸田香子(少女時代)役で、予告編に一瞬写っていたのを確認。 当時はロングヘアーだったんだな。


www.youtube.com

 

2010年代のCMも観ていたはずだし、「すずめの戸締まり」「ミステリと言う勿れ」も観ているのに、名前を覚えてなかった。

 

日本テレビの「ちはやふる-めぐり-」は、彼女を主役に据えた普通の明朗快活スポ根ドラマにしてほしかったな。