社説になっていない読売新聞社説
読売新聞は、代理出産に関する署名入り記事を何本も書いていて、頑張っているとは思うが、2月2日付社説の社説子はその積み重ねを無駄にするようなモノだった。
代理出産 もっと問題点の整理が必要では(2月2日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080202-OYT1T00015.htm報告書案通りに法制化されれば、生殖医療に対するかなり厳しい規制となるだろう。それだけの重みを持つ提言となれば、もっと問題点の整理が必要だ。
(中略)
報告書案は、こうした具体的な問題に十分答えているとは言い難い。
日本学術会議報告書案をバッサリと切り捨てている。
読売新聞は1月31日付記事で、前日の検討委員会の様子を報じている。 論点は、そこでまとめられているし、報告書案は妥協の産物であるけれど、とりあえず骨子だけはまとまりかけている、とも報じている。
[解説]代理出産「原則禁止」報告書案 法制化への課題山積
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080131-OYT8T00229.htm
報告書案をまとめるこの日の検討委でも、例外的に試行を認めたのに法律で禁止するのは「矛盾している」との声も相次ぐなど、十分な議論が尽くされず、単なる論点整理にとどまった面がぬぐえない。
この記事では「論点整理にとどまった」とあるけれども、とりあえずは「論点整理までは出来た」と解すべきではないか。
この署名記事を踏まえての社説とは思えない。 *1 社説に書かれた「論点」は、この記事に書かれた論点整理の乱暴な要約にすぎない。
ものすごく上から視点で難癖をつけている様に見える。
「代理出産は原則禁止」という結論が気にくわないなら、ハッキリ署名入りで書けばいいのにと思う。
読売新聞がまとめた報告書案骨子
- ▽代理出産は法律で禁止すべき
- ▽営利目的での代理出産の実施・依頼・斡旋(あっせん)は、国外での実施も含め、代理母を除く関与者を処罰すべき
- ▽法律で実施の要件と手続きを定め、代理出産を試行することは考慮されてよい
- ▽代理出産が行われた場合、産んだ女性を母とするルールを適用すべき。養子または特別養子縁組による、親子関係の成立は認めてよい
厚生労働省が2003年に出した「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」の基本理念は以下の通り。
- 生まれてくる子の福祉を優先する。
- 人を専ら生殖の手段として扱ってはならない。
- 安全性に十分配慮する。
- 優生思想を排除する。
- 商業主義を排除する。
- 人間の尊厳を守る。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/04/s0428-5.html
この理念から「代理出産は原則禁止」という結論が出てきた。
読売新聞の社説子は、「安全性」と「商業主義」の禁止のみが代理出産禁止の理由と理解しているのだろうか。
社説子の「代理出産は原則禁止」「産んだ女性を母」が気にくわない気持ちが透けて見える。
「子供をほしがる権利」ばかりが強調され、「子供を産む代理母」「生まれてくる子」の福祉についての視点が無いのではないのか?
社説全文