NHKの誤報

各社の報道を読み比べてみると、何が争点となっていたかが分かるという点では毎日新聞記事が一番良かったな*1

代理出産>是非の結論は持ち越し 学術会議検討委
1月30日20時18分配信 毎日新聞
 不妊夫婦の受精卵で他の女性が妊娠・出産する代理出産について、日本学術会議の検討委員会は30日、「生まれた子の母は出産した女性とし、依頼夫婦とは養子や(戸籍上ほぼ実子と同様に扱う)特別養子縁組によって親子関係を認めてもよい」とする報告書案を示した。代理出産の是非は、一部容認を求める意見があったため、前回案の「法律で一律禁止すべきだ」を「禁止すべきだ」と弱めた。しかし、まだ異論があり、結論は持ち越した。


 親子関係の規定については、「血のつながりがある子を実子と認めないのは不当だ」との批判が出た。


 報告書案は、国の管理下で代理出産を「試行」し、例外的に実施することも「考慮されてよい」としたが、「禁止としながら国が試験的に実施するのは整合性がとれない」などの意見も出された。


 鴨下重彦委員長は「大きな結論の変更が必要とは考えていない。(法律で禁止することに対し)皆さんの考えにずれはないのではないか」と話した。【永山悦子、大場あい】


これとNHKの報道「代理出産 例外的に容認の素案」とは、大きなズレがある。もう一回転載。

代理出産 例外的に容認の素案


赤ちゃんをほかの女性に産んでもらう代理出産の是非について、日本学術会議の検討委員会は新たな法律を作り、原則として禁止する一方で、国の厳重な管理の下なら例外的に認めてよいのではないかとする報告書の素案を示しました。代理出産をめぐっては、国や学会などが全面的に禁止すべきだとしており、例外的ではあっても実施を認める今回の素案は、これまでの流れを大きく変えることになりそうです。
(1月30日 19時2分)

そもそも素案はまだ出来ていない。 3月末まで結論は持ち越しのはず。
今回のニュースは各社共に「生殖補助医療の在り方検討委員会(第15回)」終了後の委員長インタビューが元ネタのはず。
NHKは他の容認派の委員に独自取材でもして影響されちゃったのか、願望を交えて書いている。


詳しいことは、2008/1/31日(木)13:00〜18:00に開催される『日本学術会議主催公開講演会「生殖補助医療のいま−社会的合意を求めて− 」』で発表されるはず。
参加を予定し、報告を書くといっているのブロガーやネットワーカーがそれなりにいるので、その人たちの報告で誤報かどうかがハッキリするんじゃないかな?



講演会のチラシ(PDF) http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf/43-k-2.pdf


【追記】
日経新聞の記事

代理出産、「容認の余地」巡り紛糾・学術会議


 不妊夫婦が妻以外の女性に子供を産んでもらう代理出産の是非を議論している日本学術会議の「生殖補助医療の在り方検討委員会」(委員長・鴨下重彦東大名誉教授)は30日会合を開き、代理出産を法律で原則禁止する報告書案をまとめた。


 条件付きで代理出産を試行することは認める方向だが、この日は例外的な実施をどのように認めるかを巡って議論が紛糾。最終的な結論は来月の会合へ持ち越された。検討委は31日に東京都内で公開講演会を開き、一般の意見も聴いた上で、2月にも最終報告書をまとめる方針。


 報告書案の内容は、法律で代理出産を原則禁止し、営利目的だった場合には刑事罰を科すというもの。一方で国の管理下で厳しい条件を設けて代理出産を試行することを認めており、将来、改めて是非を判断する必要性にも言及している。(07:00)

*1:まだ朝日、産経の記事を読んでいない段階だが