ケータイ小説の起源(2)

前のエントリーは、タイトルと中身がズレすぎたので、改めて起源のこととかメモ。


ケータイ小説と、昔から有る読者体験手記とかヤンキー小説・ジュニア小説(コバルト文庫など)の繋がりも指摘されてる。

他に付け加えるなら「本当にあった***話」ブームと、明治安田生命のCM「あなたに会えて」シリーズかな。
特に、2001年放映の「たったひとつのたからもの」篇は、90秒で泣ける実話感動作だ。
http://www.meijiyasuda.co.jp/profile/event/dear/
http://www.meijiyasuda.co.jp/profile/event/dear/2001/


直接の「起源」は「感動系チェーンメール」だろう。
1999年2月、NTTドコモが「iモード」サービスを始めて、すぐに流行したのじゃなかったかな。


最近のトレンドを先取りしてるようなのを、ひとつ紹介。「実話」だということが強調されてる。
おそらく2000年頃のもの。

こんなに人に囲まれてるのに何故孤独なのだろう
あの人が死んだ あの人は一人しかいない、私も一人しかいない
あの人がいたって私は孤独だった
あの人がいたって何も私は変わらなかった
生きかたのヒントをくれただけだった
だけど・・・あの人が必要だった
何故必要だった?寂しさを埋めるため?
その答えはわからない・・・けど、
一緒に笑いたかった
一緒に泣いて欲しかった
一緒に悩んでほしかった


私をわかってほしかった
あの人が死んでから私は本当の孤独を知る 
あの人も私も一人しかいない
だから一人しかいない私を大事にしよう 
一人しかいない人達を大事にしよう
人はただ生きかたのヒントをくれるだけ、それだけだ


この詩は沖縄の人が戦争の悲しみから作られた詩です。
このメールを最低でも●人の人に送ってほしいのです。
お願いします。


2001年には「世界がもし100人の村だったら」が流行。 書籍化もされて、大ブーム。
ネット発の文章が書籍化されベストセラーになった例は、これ以前にあったっけ?
電車男は2004年。 ホリエモンブームが始まり、彼の本が売れてきたのも2004年ころから。


さてと、2006年のベストセラーの惹句

インターネットで爆発的に広まっている愛と感動の真実のストーリー。この短い物語には、あなたの悩みを解消し、運を開くヒントがあります。

これは、2006年 9月いきなり週間ベストセラー<総合>(トーハン)の2位に初登場した「鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール」。


週間ベストセラー<総合> 2006年 9月12日調べ http://www.tohan.jp/bestseller/060912.html

 1 美しい国 安倍晋三
★2 鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール 野口嘉則


さて、その1ヶ月後に「恋空」が初登場


週間ベストセラー<総合> 2006年10月11日調べ http://www.tohan.jp/bestseller/061011.html

 1 邪魅の雫 京極夏彦
 2 鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール 野口嘉則
☆3 池田大作の軌跡 I 評伝 平和と文化の大城
 4 美しい国 安倍晋三
★5  恋空 切ナイ恋物語 (上)(下) 美嘉
★6 DRAGON BALL Z Sparking! NEO PS2版 新武闘書

* ★印は初登場 ☆印は再登場*1


2007年の文芸部門のベストセラー上位が「ケータイ小説」で占められたことが、『「文芸」という分野で売れた』という論調になってるのには、ちょっと微妙な気分が有ったりする。


ブログ本やコミックも一応「文芸」のジャンルにはいるらしい。 というか「文芸」と自己申告すれば「なんでもあり」じゃなかったかな。
手塚治虫の「陽だまりの樹 (1) (小学館叢書)」「アドルフに告ぐ(1) (手塚治虫漫画全集)」は「文芸」の部門で出版され、ベストセラー上位に登場していたはず。 そのとき「さすがはマンガの神様」みたいに賞賛されていたことを思い出す。
文芸部門では売れたのだろうけれど、他のコミックと比べると「ベストセラー」と評するには、いささか問題があった。


ケータイ小説」が、古くさい「小説」というジャンルを席巻している、という評にも違和感があるなぁ。
ケータイ小説の売れ方は、コミックとタレント本と比べなきゃいけないのじゃないか?

*1:ところで、2006年10月11日調べの週間ベストセラー<総合>ベストテンを、全部読んでる人っているのだろうか?