オバマのカイロ演説「CHANGE よりも RESPONSIBILITY」


ネットでの動画生配信、すぐに英語字幕・アラビア語字幕付き動画も用意するあたりは、さすがネットを使い慣れたスタッフだな。

http://www.whitehouse.gov/the_press_office/Remarks-by-the-President-at-Cairo-University-6-04-09/
アフガニスタンのパシュトゥー語、パキスタンウルドゥー語、イランのペルシャ語インドネシア語ヘブライ語、マレー語が順次追加されるそうだ。


でも、プラハ演説を日本語訳してくれた米大使館も、トルコ議会演説や今回のカイロ演説までは日本語には訳してくれてないだろうなぁ。残念

CHANGE よりも RESPONSIBILITY

これまでさんざんキャッチフレーズの「チェンジ」を連発していたけど、今回それが控えめだった。
4月6日のトルコ議会演説でも、あんまり「CHANGE」を言わなかったけれど、今回はもっと慎重な姿勢になっている。

I do so recognizing that change cannot happen overnight. I know there's been a lot of publicity about this speech, but no single speech can eradicate years of mistrust, nor can I answer in the time that I have this afternoon all the complex questions that brought us to this point.


一晩で変わるわけではないし、たとえ言葉を尽くしても、この演説一つで長年の不信が解けるわけでもないし、今日の午後ここですべての問題に答えが出せるわけじゃあない


そのかわり、「RESPONSIBILITY」を強調している。
大統領就任演説では"New Era of Responsibility" - 「新たなる責任の時代」もキーワードの一つだったけれど、今回は自国民だけではなく他国・他国民にも RESPONSIBILITY を求めた格好だ。


一方で、唯一の超大国アメリカ合衆国大統領としての「responsibility」に言及するときは、これまでのアメリカの行動の正当性を強く訴えるモノになっていている印象。



ハマスに対して

Now is the time for Palestinians to focus on what they can build. The Palestinian Authority must develop its capacity to govern, with institutions that serve the needs of its people. Hamas does have support among some Palestinians, but they also have to recognize they have responsibilities. To play a role in fulfilling Palestinian aspirations, to unify the Palestinian people, Hamas must put an end to violence, recognize past agreements, recognize Israel's right to exist.


現在、パレスチナ人のための時間は、彼らが造ることができるものに集中することになっています。 その人々の必要を満たす機関とともに、パレスチナ自治政府は支配するその能力を開発しなければなりません。ハマスは一部のパレスチナ人の間で支持をしま す、しかし、彼らも彼らには責任があると認めなければなりません。 パレスチナの抱負を成し遂げることの役をつとめるために、パレスチナの人々をまとめるために、ハマスは暴力に終止符を打たなければならなくて、過去の協定 を認めなければならなくて、存在するイスラエルの権利を認めなければなりません。(機械翻訳


我々全員の「義務」

Too many tears have been shed. Too much blood has been shed. All of us have a responsibility to work for the day when the mothers of Israelis and Palestinians can see their children grow up without fear


あまりに多くの涙は流されました。 あまりにたくさんの血は流されました。 我々全員には、イスラエル人とパレスチナ人の母が彼らの子供たちが恐れなしで育つのを見ることができる日の間働く義務があります(機械翻訳

歴史問題

オバマさんは歴史を語ることが大好きなのだが…


4月6日のトルコ議会演説では、1915年のアルメニア人虐殺問題に言及して、微妙な波紋が広がった。

wikipedia:アルメニア人虐殺問題

今回は「アメリカは冷戦中、民主的に選ばれたイラン政府を転覆させた」と言っている。
wikipedia:モハンマド・モサッデク

For many years, Iran has defined itself in part by its opposition to my country, and there is in fact a tumultuous history between us. In the middle of the Cold War, the United States played a role in the overthrow of a democratically elected Iranian government. Since the Islamic Revolution, Iran has played a role in acts of hostage-taking and violence against U.S. troops and civilians. This history is well known. Rather than remain trapped in the past, I've made it clear to Iran's leaders and people that my country is prepared to move forward. The question now is not what Iran is against, but rather what future it wants to build.


長年、イランは私の国へのその反対によってそれ自体を一つには定めました、そして、騒がしい歴史が実際我々の間にあります。 冷戦の最中に、アメリカ合衆国は民主主義的に選択されたイラン政府の打倒で役割を果たしました。 イスラム革命以来、イランは人質拘束の行為と米軍と一般人に対する暴力行為で役割を果たしました。 この歴史は有名です。 過去に罠にかけられるままであるよりはむしろ、私はイランのリーダーと人々に私の国が前進する用意ができていることを明らかにしました。 問題は、現在、イランがあるものでなく、それが造りたいだけのむしろ将来です。

クーデターで政府転句させたのと、イスラム革命後の大使館員人質事件あたりを並列させているんだろうけれど…、ちょっと釣り合いが取れないような気もするぞ。


大丈夫かなぁ? かなり微妙な問題。 
お互いに歴史の暗部に目を向けて…ということだろうけれど、微妙に反米感情を呼び起こしているような気がするぞ。


この調子だと、中国に行って人権問題を具体的にあれこれ指摘して、日本にも過去の蛮行について言及するんじゃないかな?

今後、進展はあるのか?

アラブ圏ではおおむね好評だった、とか、イスラエル政府は不安を感じた、とかの報道もあるけれど…


オバマ個人はいい奴で、話ができそうだけれど、所詮はアメリカ大統領。 たいして変わらない」という生暖かい反応が多くなりそうな予感もするけれどなぁ…


イスラムと戦っているんじゃない。テロリストが問題。 今、核拡散を防がなければ、核軍拡競争の時代が来てしまうのが問題。」と、各国が問題意識を共有できればいいんだろうけども…