もうすこしオバマのプラハ演説について【資料】 麻生総理の欧州歴訪での発言、各国首脳の記者会見発言

麻生総理の答弁にある欧州歴訪時の講演や記者会見は、政府インターネットテレビ http://nettv.gov-online.go.jp/index.html 内のチャンネル01で視聴可、官邸に文字起こしされたものが有るけれど、あえてニコニコ動画に転載されてたのを貼っておこう。


日本・チェコ首脳共同記者会見(質疑応答・日本語音声・字幕付) 5月3日
D
日・チェコ首脳会談共同記者会見
http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2009/05/03kaiken.html
【質疑応答】
(問)
 北朝鮮問題に関し、両首脳に伺いたい。北朝鮮は、6者会合への不参加等反発を強めているが、両首脳の受け止め及び今後の両国の対応は如何。


(トポラーネク首相)
 北朝鮮については、もちろん日本と同様の考えである。距離的な点では日本の方が北朝鮮の核開発はより深刻な脅威となっている。我々は北朝鮮が国際的約束を果たすかを注視しているが、3月23日に平壌にてEU・北朝鮮の会合が開催された際には、6者会合の現状について懸念をEU側から強く伝えた。先般のミサイル発射の日にはちょうどオバマ大統領がチェコを訪問していたので、米とともに共同声明を発出した。北朝鮮については、日本にとっては二国間の問題としても考える必要もあろう。日本の拉致問題やいわゆる過去の清算も未解決である。結論としては、北朝鮮核兵器プログラムは世界に対する脅威である。


(麻生総理)
 北朝鮮をめぐる問題の解決のためには、国際社会が一致して対応することが重要。これまで、チェコを含むEU諸国は、核・ミサイル問題や拉致問題を含む人権問題について、一貫して共同歩調をとって頂いており、評価。先日のミサイル発射への対応に際しては、チェコが、EU議長国としてEU諸国の連携に尽力して頂いた結果、あのように素早い対応となったと理解しており、深く感謝する。北朝鮮が、先日の国連安保理議長声明を重く受け止め、国連安保理決議を守り、国際社会の平和と安定を損なう行動を慎むことを、改めて求めたい。また、6者会合は、北朝鮮をめぐる問題を解決する上で、最も現実的な枠組みであると考える。以上は、国際社会全体の考えでもあり、日本としては、EUを初めとする関係国と緊密に連携して、問題の解決に取り組んでいきたい。



日本・EU首脳共同記者会見(日本語音声付き)5月4日
D
日・EU首脳共同記者会見
http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2009/05/04kaiken.html

(問)
 約1か月前、このプラハの地で米国のオバマ大統領が核兵器のない世界を目指す演説を行った。日本、そしてEUは、どう受け止め、核軍縮に向けて具体的にどのような行動を取っていくのか。

(麻生総理)
 日本は、核兵器がもたらしうる惨禍を、客観的事実をもって伝えていく役割を果たせる唯一の国。15年にわたり、国連で核廃絶決議を主導するなど、核軍縮外交を積極的に推進。もっとも、北朝鮮の核・ミサイル開発、中国による核軍備の近代化など、日本を取り巻く北東アジアの安全保障環境は、厳しさを増している。こうした状況だからこそ、核軍縮の促進、不拡散体制の強化が重要。来年のNPT運用検討会議を成功させることが必要。そのため、日本は、すべての核保有国による核軍縮措置、国際社会全体による軍縮不拡散についての措置、原子力の平和利用のための措置、について、具体的な提案を行ったところ。国際社会の一致した取組を生み出すことが必要であり、来年の早い時期に、「2010年核軍縮会議」を日本にて開催する。世界の安定を維持しつつ、「核兵器のない世界」というゴールに向けて、国際社会の具体的取組を粘り強く後押ししていきたい。


(クラウス大統領)
 オバマ大統領は、ここから100mの距離で当該演説を行った。我々としては、米国のイニシアティブを意味ある形で支えたいと考えている。本日の協議では、北朝鮮、イランの問題に関連してこの問題を扱った。北朝鮮については、日・EUの立場は類似の立場をとっており、現状評価及び今後の方向性についても同様である。イランについても詳細に議論を行った。



麻生総理×メルケル首相】日独首脳共同記者会見2009-05-05【ノーカット】 5発5日
D
日独首脳共同記者会見
http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2009/05/05kaiken.html

【質疑応答】
(問)

 メルケル首相に伺います。メルケル首相は、国民を抑圧している今の北朝鮮の体制について、その正当性等どう考えるか。


メルケル首相)
 ドイツの歴史的経験に鑑みても、人間の自由を奪うあらゆる体制は受け入れられるものではなく、状況が改善することを望む。また、北朝鮮と韓国の関係が進展することを望む。ただしその前提となるのは、民主主義という原則に則って、ということである。まずは、国連安保理決議を北朝鮮に遵守させることが重要である。六者会合を継続していくべきであり、独は引き続き六者会合を支援していく。


(問)
 麻生総理に伺います。イランに対する日本の立場を伺いたい。イランとの直接対話実施に同意するか。


(麻生総理)
 イランはアフガニスタンの隣国であり、同国には200万人ものアフガニスタン難民が流入していると承知。アフガニスタン問題解決のためには、隣国であるパキスタン及びイランの協力が不可欠である。これが日本の見方である。イランに関するもう一つの重要なテーマは核開発問題である。イランは国際的孤立を深めているが、日本とイランの間には、これまで築き上げてきた独自の二国間関係がある。先日、モッタキ・イラン外相が、東京で行われたパキスタン支援会合に出席するため訪日し、また、中曽根外務大臣がイランを訪問し、アフマディネジャード大統領等と会談を行った。これらの機会をも通し、日本は国際世論の声を同大統領に届ける努力を続けている。


(問)
 両首脳に伺います。アフガニスタンパキスタン問題は、地域という視点から包括的な取り組みが求められていると考えるが、今後日独両国はどのように協力関係を進めていくつもりか。

(麻生総理)
 まず、アフガニスタンについては、8月に大統領選挙が予定されており、これが自由、公正に実施されるよう注視している。日本は、この選挙がうまくいくために、アフガニスタンの全警察官8万人の半年分の給与に相当する支援を行っている。また、ドイツもアフガニスタンの治安能力向上のため、多大な犠牲を払いながらも努力を行っていることを高く評価している。初めてのアフガニスタン支援会合は、2001年にボンで開催されたと承知している。また、中長期的に考えればパキスタンへの支援も重要であり、パキスタンに関し、先日東京で開催した支援国会合では、日本の最大10億ドル、ドイツの1.1億ユーロの支援を含め、予想を上回る約52億ドルの支援表明があった。お金を集めただけでなく、そのお金を使ってきちんと支援を行っていき、この成果をパキスタンの安定につなげて行くべく、日独両国で引き続き緊密に連携していきたい。


メルケル首相)
 すでに麻生総理が言及されたとおり、アフガニスタンパキスタン問題に対する日独の立場には共通点が多い。すなわち、復興支援と軍事面の措置を上手く組み合わせることが重要であり、日本の努力を高く評価する。また、同問題解決のためには、地域の視点から考える必要があるという点も共通しており、日本がパキスタン支援会合を主催したことに感謝している。私自身最近もパキスタンとの協力を深めるべくパキスタンの首相と電話で話している。独は2007年にG8議長国としてアフガニスタンパキスタンとの協力を強化し、両国が協力するきっかけを作ったが、両国の積極的関与が重要という点では日本の立場も同じである。独はアフガニスタン警察及び軍の訓練に力を入れている。アフガニスタン人が自らの手で治安を守れるよう支援していくことが重要である。カルザイ大統領は11日に再び訪独するので、その機会にアフガニスタンの軍・警察の支援やアフガニスタン自身の自助努力等について詳細に話す予定である。



グローバルな課題を克服する日欧のパートナーシップ【麻生総理講演】 5月5日
D
麻生内閣総理大臣の欧州における政策スピーチ
http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2009/05/05speech.html
(核軍縮と不拡散) 
 四つめの挑戦は、核軍縮大量破壊兵器などの不拡散の問題です。1か月前、アメリカのオバマ大統領は、チェコプラハで、核兵器のない世界のために進むべき方向を力強く示しております。アメリカが核軍縮の話を先頭を切って言う、これまでになかった例だと存じます。原爆を初めて使用した国としての、責任の話も触れておられます。アメリカとロシアの首脳は、年内に新たな核軍縮の合意を目指すとしております。欧州でも、英国、フランスが自らの核戦力を引き下げるという努力を、透明性をもって進めようとしておられます。
 日本は、ご存知のように唯一の被爆国として、過去15年間、国連で核廃絶決議を提案し、圧倒的な支持を受けて成立をさせてきたところです。今、核軍縮に向けてかつてない機運が生まれてきていると思われます。
 もっとも、残念ながら、日本もしくは北東アジアを取り巻く安全保障は、逆に厳しさを増しているところがあります。北朝鮮は、国際社会の声を無視して核・ミサイルの開発に進んでおります。加えて、13歳の少女を含む無辜の日本の市民を北朝鮮に連れ去り、未だに帰還させない、拉致問題の解決に取り組む姿勢も今、見せておりません。
 中国の国防費は、20年連続して前年比で二桁の伸びを示し、その内容は透明性を欠いております。また、核軍備の近代化も進めております。
このような状況にあるからこそ、核軍縮を進め、不拡散体制というものを強化することが重要なのだと申し上げております。この点に関しましては一週間ほど前、中国・北京において胡錦濤国家主席温家宝首相両首脳にそれぞれ、日本としての疑念を率直に申し上げてきたところです。欧州も長年、核戦争の恐怖というものに脅かされてこられております。世界全体の安定を維持しつつ、加えて「核兵器のない世界」を目指すというゴールに歩みを進める。今、開かれた歴史的チャンスというものを、欧州と一緒につかんでいきたいと考えております。