もうすこしオバマのプラハ演説について【資料】 日本の国会での言及 (2)

衆議院予算委員会 平成21年5月8日(金曜日)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001817120090508025.htm

冒頭部分


○笠井委員 日本共産党笠井亮です。


 アメリカのオバマ大統領は、去る四月五日、プラハで行った演説で、核兵器のない世界と、核兵器廃絶をアメリカの国家目標とするということを初めて公式に宣言いたしました。核兵器を使用したことのある唯一の核兵器保有国として米国は行動する道義的責任がある、こう述べて、核兵器のない世界に向けて諸国民に協力を呼びかけました。これは、私は、世界に対する大きな問題提起だと思います。


 我が党は、日米関係のあり方については米国政府と大きな違いがありますが、今回のオバマ大統領の言明を心から歓迎して、志位委員長が去る四月二十八日、オバマ大統領に、核兵器廃絶への具体的行動を要請する書簡を送ったところであります。


 そこで、麻生総理、このオバマ演説に至る動きのきっかけとなった、二〇〇七年の一月、キッシンジャー、シュルツ元国務長官らの核兵器のない世界への提言について、当時、衆議院の外務委員会で、私の質問に対して外務大臣だった総理は、君子は豹変するな、時代というのは随分大きく変わりつつあるのかなというふうに感想を述べられました。


 総理は、広島、長崎に原爆を投下された唯一の被爆国の首相として、今回のオバマ大統領の言明、呼びかけをどう受けとめていらっしゃいますか。


麻生内閣総理大臣 これは、これまで行われたアメリカの大統領の演説の中で最も印象的な演説だったと、私自身、あれは夜中やっていたんですが、正直申し上げてびっくりして、あの演説はたまたま生で見ていたものですから、そういう感じがしました。これがまず率直なところです。


 加えて、私は、今、笠井先生の御質問にお答えさせていただくとするならば、バラク・オバマという人が演説した場所はプラハなんですが、チェコプラハでその演説をした、次の日ベルリンに私はたまたま行く機会がありましたので、そこで、昔のベルリン大学フンボルト大学で講演するときに、チェコオバマの話、前の日にチェコにいたものですから、大統領と話をしたときに、いろいろ話をしました。この話をさせていただいたときに、今お話が出ましたように、この話をどうチェコで考えるのか、おれたちは物すごい評価が高いという話をした上で、ベルリンのフンボルト大学で、これは物すごく大きな時代の変化を私自身としては感じるんだと。


 核兵器を含みます大量破壊兵器の拡散など、今、日本がこれまでも何回となく国連で核兵器の廃絶の動議を出してきたりしておりますが、そういったものの廃棄は、だんだん賛成する国の数がふえてきているのは御存じのとおりなんですが、少なくとも、今回、新たな核軍縮への立場というものを明確にされたということで、これは世界じゅうが大きく歴史を転換させ得るというような、極めて重要な前向きな話だと私自身も考えております。


 したがいまして、その数日前に中国の首脳二人と会ったときにも、この話は、アメリカもこの話をしている、したがって、同じように核を保有している中国においても、この問題に関して前向きに検討してもいい時期に来ているのではないか等々の話もあわせてさせていただいております。


 いずれにいたしましても、電話会談をその後バラク・オバマ大統領とさせていただきましたときにも、率直に私どもの方としては、今回の演説は極めて評価は高いという旨の話も電話では伝えております。


○笠井委員 私も被爆二世ですが、やはり今回の言明、特別の感慨を持って受けとめました。そして、こういうときこそ、広島、長崎に原爆を投下された唯一の被爆国政府の責務はいよいよ大きいと言わなければいけないと思います。


 五月四日からニューヨークで、来年のNPT、核不拡散条約運用検討会議に向けた第三回準備委員会が開かれておりますが、この委員会は五月六日、核兵器の全面廃絶に対する核兵器保有国の明確な約束をうたった二〇〇〇年の合意文書を踏まえたNPTの運用見直しなどの議題案を全会一致で合意いたしました。


 今こそ、総理、被爆国政府が、来年の会議でこの明確な約束を再確認するために努力すると同時に、核兵器廃絶のための国際条約の締結ということを目指して国際的な話し合い、交渉を開始させる、そのイニシアチブを率先して発揮すべきときではないかと思うんですが、いかがでしょうか。


麻生内閣総理大臣 今笠井先生おっしゃいましたように、唯一の核使用国、唯一の核被爆国という立場にあるんですが、過去十五年間、国連において、御存じのように、核廃絶決議というものが日本のリーダーシップで、たびたび、毎回と申し上げていいほど提案をさせていただき、確実にその数をふやして、今では多分圧倒的な支持を受けて、今、成立をさせているというのがここ数年だと思っております。したがいまして、積極的な核軍縮交渉というか、そういった外交というものを推進しているところでもあります。


 これまでも、核を保有しております国々に対して、核軍縮のためのかなり現実的な具体的な措置をとれというようなことを求めてきておりましたこともございます。したがいまして、今回の二〇一〇年のNPT運用検討会議というものにおきまして、今お話のありましたように、少なくともこの問題に関してきちんとした形が出せるように、成功に向けてさらに全力を挙げてまいりたいと思っております。


○笠井委員 具体的措置についても、やはり核兵器廃絶という目標を明確にしてこそ、これも本当に意味がずっと出てくると思うんですね。北朝鮮核兵器開発を終わらせる上でも、全世界が核兵器廃絶に向かえば一番の圧力になる。北朝鮮問題でも大きな歴史的意味を持つ取り組みになると思います。そして、憲法九条を持つ被爆国政府が文字どおり先頭に立って全力を挙げるべきだということを申し上げておきたいと思います。