もうすこしオバマのプラハ演説について (1)

ニコニコ動画のほうは通しで視聴可 
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youtubeだと3分割なので、ちょっと面倒かな。 登壇前とか演説後がちょっと短めでもある。



原文  http://www.whitehouse.gov/the_press_office/Remarks-By-President-Barack-Obama-In-Prague-As-Delivered/ 
日本語訳 http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-20090405-77.html *1

核なき世界へ「Yes, we can」オバマ演説現地ルポ
http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2009/05/yes_we_can.html

このルポも秀逸。 チェコの現状や、プラハで演説する意味など、いろいろ参考になる。


字幕をつけてみようと思ったのは、5月初めの麻生総理欧州歴訪情報をあれこれ調べたのがきっかけ。 

同じ頃、日本国内でもプラハ演説に呼応して、何か国会決議を出そうとする動きもあって、ちょっと気になっていた、というのもある。


このところ、国防関係の話で言及されることが多い演説に成っている。


We are here today because …

演説は、やはり凄く上手い。


チェコスロバキアの初代大統領トーマス・マサリクが、1918年10月18日にワシントンDCの国会議事堂に立ち独立を宣言し、その後シカゴで10万人を前に演説をした故事から語り始める。*2


「私たちが今日ここにいるのは… We are here today because 」と繰り返し、「プラハの春」「ビロード革命」「チェコEU加盟から現在議長国になったこと」「NATO加盟」など、いろいろ泣かせる思い出話で盛り上げていく。


東側の国が、NATOに加盟し、EUの議長国になる…
そこで黒人のアメリカ大統領が演説するというは、確かに冷戦時だと想定外の出来事であり、感慨深い。 *3


壇上にオバマ夫妻が格好良く登壇するのを見ると、確かに昭和は終わり、21世紀になったんだな、と改めて思う。


私たちが今日ここにいるのは、あらゆる困難にもかかわらず、米国民とチェコ国民が、この日が必ず来ると信じたからです。
私たちは、こうした歴史を共有しています。

こういった言い回しはケネディのベルリン演説「自由を求める者は皆、ベルリン市民である。私も1人のベルリン市民である (Ich bin ein Berliner)」を強く意識している感じ。



プラハ演説では世界的な経済危機、気候変動にも若干触れている。
また、NATO連合軍強化の必要性と、アフガン派兵の正当性を、プラハでも改めて訴えている。


これは、実際の所2008年7月の、まだオバマが大統領になる前のベルリン演説と同じ内容の繰り返しではあるけれど。


しかし、これを「神演説」と、手放しで歓迎できるかと言えば、ちょっと微妙ではある。


ブッシュ前大統領みたいに対決姿勢を露わにしているわけではないけれど、別にアメリカの行為を謝罪し反省しているわけではないし、大幅な政策転換をすると明言しているわけでもない。


具体的な進展としては、アメリカとロシア間で核軍縮交渉が始まることくらいだ。

*1:字幕用にちょっと変更有り。

*2:シカゴにマサリクのモニュメントが有ったりする http://members.virtualtourist.com/m/p/m/1730e2/

*3:演説動画をネットで視聴でき、日本語訳を読めて、そしてまさか自分が字幕までつけて公開するなんてことも、想定外