党首討論の「良かった探し」と「北朝鮮核実験実施に対する国会抗議決議」

核問題で鳩山氏が変なことを口走らなくて良かった。


政権交代間近ともいわれる野党党首が、国防に関して変なメッセージを連発するんじゃないかと冷や冷やしていた。
具体的に言えば、オバマオバマと連呼するんじゃないかと心配していた。

25日〜26日の国会決議案を巡る攻防

いきさつは、産経新聞が詳しい

国会決議原案「国連決議違反」も「独自制裁強化」もなし - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090526/plc0905260028001-n1.htm

全党一致での決議を実現しようとする自民党民主党に起草を要請、民主案に自民、共産両党が修正を加えたもの
 「北朝鮮核実験に強く抗議し、核兵器廃絶への取り組み強化を求める決議案」の原案は次の通り。


ということで最初の原案

 5月25日、北朝鮮は国際世論を無視し2回目の核実験を強行した。わが国はこの国際社会への重大な挑戦を断じて認めず、強く抗議する。北朝鮮はすべての核を放棄し、国際社会の査察を受け入れ、朝鮮半島の非核化に取り組むべきである。


 あわせて冷戦後の現在、核兵器のみならず核弾頭搭載可能なミサイル開発、核物質や核技術の流出、拡散の脅威は高まっている。政府はこの現実を重く受け止め、非核保有国と連携をとり、核保有国の理解を求め、核軍縮不拡散の取り組みと実行性ある査察体制の確立を積極的に進めるべきである。


 去る4月5日、オバマ米国大統領は「核兵器のない世界」を追求する決意を表明した。唯一の被爆国として世界の核廃絶に向けて先頭に立つ責務を有するわが国は、この機会をとらえ、核廃絶を世界的な潮流とする努力をしなければならない。


 2010年核拡散防止条約(NPT)再検討会議において、そのために主導的役割を果たし、核保有国を始めとする国際社会に働きかけ、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効や兵器用核分裂生産禁止(カットオフ)条約の推進など、核廃絶・核軍縮・核不拡散に向けた努力を一層強化すべきである。

 右、決議する。

これを、いろんな抗議声明と比べてみる


25日の外務省

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/21/5/1192211_1097.html

北朝鮮による核実験実施発表に対する我が国からの抗議について
平成21年5月25日


 本日の北朝鮮による核実験実施発表に関し、北京の「大使館ルート」を通じ、本日午後14時半頃、北朝鮮側に対し、概要以下の内容の申入れを行いました。


北朝鮮による核実験実施は、国連安保理決議第1718号が、北朝鮮に対して核実験を行わないことを要求し、本年4月13日の安保理議長声明でも同決議の完全遵守を改めて求めている中で行われたものであり、明確な安保理決議違反である。断じて容認できない。


また、核兵器不拡散体制に対する重大な挑戦であり、日朝平壌宣言や六者会合の共同声明にも違反するものである。北朝鮮側に厳重に抗議するとともに、遺憾の意を表明する。


我が国としては、北朝鮮がすべての核兵器及び既存の核計画の放棄並びに核兵器不拡散条約及びIAEA保障措置への早期復帰を約束した六者会合共同声明の完全実施並びに安保理決議第1718号の即時かつ完全な履行を求めたい。また、この機会に改めて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けた具体的行動をとるよう強く求めたい。


25日の日本共産党 志位委員長の談話

 一、北朝鮮政府は二十五日、核実験を強行した。それは、北朝鮮に対して「いかなる核実験または弾道ミサイルの発射もこれ以上実施しないこと」を要求した国連安保理決議一七一八(二〇〇六年十月十四日)や、北朝鮮が「一切の核兵器および現在の核計画を放棄」すると合意した六カ国協議共同声明(二〇〇五年九月十九日)にも明確に違反する暴挙である。北朝鮮のロケット発射を非難した四月の国連安保理議長声明が意に沿わないからといって、北朝鮮が世界に明らかにしてきた公約を一方的に破棄することは、許されるものではない。


 今日、世界のなかで核兵器廃絶に向かう新たな機運が生まれつつある。このときに行われた今回の核実験は、そうした動きに対する乱暴な挑戦であり、北東アジアの平和と安定への重大な逆流である。


 一、わが党は、北朝鮮の行動に対し、厳しく抗議する。わが党は、北朝鮮政府に対し、これ以上の核実験を厳に慎むこと、核兵器および核兵器開発計画を放棄すること、無条件で六カ国協議に復帰することを強く求める。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-05-26/2009052601_01_1.html


あれこれあって、衆院本会議で26日午後に可決された決議全文

 北朝鮮核実験実施に対する抗議決議


 5月25日、北朝鮮は、国連決議や六者会合共同声明、更(さら)には日朝平壌宣言に明確に反して、2回目の核実験を強行した。


 この暴挙は、先般のミサイル発射と並び、我が国を含む地域の平和と安定を脅かすものであり、我が国政府は、国際社会と連携しつつ、我が国の安全を確保すべく万全の措置を講ずるべきである。


 同時に、度重なる核実験は、国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦であり、唯一の被爆国の我が国としては、決して容認できるものではない。特に、最近の核廃絶の気運の高まりに逆行するものであり遺憾の極みである。北朝鮮に対し、これまでの諸合意に従い、すべての核を放棄し、国際社会の査察を受け入れ、朝鮮半島の非核化に取り組むよう要求する。


 政府は、北朝鮮に対して制裁を強めるなど断固たる措置をとるとともに、拉致問題、核、ミサイル等、北朝鮮との諸懸案を解決すべく、国際社会の理解と協力を得つつ、外交努力を倍加すべきである。

 右決議する。


最初の国会決議原案だけが「オバマ大統領のプラハ演説」について言及している。
産経新聞報道などによると、原案を書いたのは民主党らしい。 それに共産党自民党が修正を加えた、とのこと。 同日の日本共産党志位委員長談話には「オバマ」への言及は無し。


2日後の27日、民主党岡田克也幹事長の発言。

民主党:岡田幹事長、核不拡散・軍縮に関する国際委員会のエバンス共同議長と懇談
http://www.dpj.or.jp/news/?num=16038

 冒頭、岡田幹事長は、一行の訪問を歓迎し、「オバマ大統領のプラハ演説に象徴されるように、核軍縮・不拡散という大きな流れが出来てきていることは大変嬉しい。北朝鮮の核実験など、それに反する動きもある。国際社会が核廃絶に向けて一致した努力をするために、委員会は非常に重要だ。現状についてお話を聞かせていただき、委員会がいい結論を出せるように我々も努力したい」などと挨拶した。

冒頭にいきなり「オバマ大統領のプラハ演説」の話から始めている。


岡田克也氏の4月7日付blogにて、プラハ演説をものすごく評価していたりする。

オバマ大統領核廃絶演説――道義的責任への歴史的言及
2009年4月 7日 (火)
http://katsuya.weblogs.jp/blog/2009/04/post-d86e.html


報道をあれこれ見ていくと、国会決議案に「オバマプラハ演説」を盛り込もうと考えていたのは民主党なんだろうな。
岡田克也幹事長、鉢呂吉雄『次の内閣』ネクス外務大臣浅尾慶一郎ネクス防衛大臣民主党軍縮促進議員連盟平岡秀夫衆院議員及び藤末健三参院議員あたりかなぁ?


国会決議に「プラハ演説」を盛り込む愚

そもそも日本の国会決議なのに、アメリカ大統領の個人名を入れるのはいかがなものか?
そこまで卑屈にアメリカべったりの姿勢を示していいのだろうか。
特に野党は、いままでさんざんブッシュの「先制攻撃論」を批判してきたのに、オバマの演説一つでコロリと態度を豹変するのも見苦しい。


オバマさんにしたって、勝手に名前を使われて迷惑だと思うぞ。


一番の問題は、「プラハ演説」を日本流に勝手に読み替えてしまっていること。
だから、これでは国際的に強力なメッセージになり得ない。


今回は「国際的協調」が鍵となるのに、中国・ロシアに評判の悪い「プラハ演説」に言及しようとするのは、まったくの愚策。


オバマ」に言及しなくて、本当に良かった。




地震波の解析では、この時点で北朝鮮オバマの核廃棄のファンタジーを破壊したと判明

http://www.politicalcartoons.com/cartoon/7732a8d0-3a57-4612-ac17-1f1d0c3a562e.html