大人が何度も見てしまう「崖の上のポニョ」

先週の日曜日、ようやっと劇場で見た。 さすがにガラガラで、子供は一人だけ。結構年齢層が高かったなぁ。

五歳の子よりも、大人に受けてしまう映画

ジブリ以前の宮崎節炸裂、という印象。
骨格はパンダコパンダ&パンダコパンダ雨ふりサーカス [DVD]で、そこに過去の作品のイメージをグシャグシャに混ぜ込んだような映像だった。
大洪水の後の世界といえば「未来少年コナン」だし、リサは峰富士子とモンスリーを混ぜたような感じだし、ハムやラーメンはハイジのチーズを思い出した。


有る程度知恵がついちゃった大人は、監督のイメージを読み解こうと、映画を何度も観かえしてしまうのじゃないかな?


劇場用映画というよりは、DVD(ブルーレイ)鑑賞に向いている作品のような気がするなぁ。
絵本を見るとき何回もページを行き来するように、DVDが出たら、何度もスローや静止、拡大などを使って観るひとが続出しそうな気がする。

グランマンマーレは女媧かな?

クトゥルー神話」や「ニーベルンゲンの歌」関連で読み解く人が多いみたいなので、新説(?)を追加。


クトゥルー神話繋がりで、諸星大二郎の「栞と紙魚子」シリーズを思い浮かべた人が多いようだけど、むしろ最近のこの3冊のほうがより関係が深いように感じた。

私家版魚類図譜 (KCデラックス モーニング)

私家版魚類図譜 (KCデラックス モーニング)

未来歳時記・バイオの黙示録 (ヤングジャンプコミックス)

未来歳時記・バイオの黙示録 (ヤングジャンプコミックス)

私家版鳥類図譜 (KCデラックス モーニング)

私家版鳥類図譜 (KCデラックス モーニング)


冒頭のポニョが浮上するシーンは「私家版魚類図譜」収録の「深海人魚姫」を連想した。
また、フジモトの解説だと、ポニョが人になる力を得たのは、宗介の血液(傷口)を舐めたためらしいが、それも「バイオの黙示録」での、遺伝子が混ざって変身しちゃう話を連想しちゃったな。


映画で天の乱れを修復したのは、ポニョかグランマンマーレなのか、よくわからないけれど、あのグランマンマーレの巨大さも諸星の描く女神たちと共通している。


「私家版鳥類図譜」収録の「鵬の墜落」は、古代中国神話の女媧が天の裂け目を補修した説話を元ネタにしている。

wikipedia:女カ より

創造神
『楚辞』「天問」には女媧以前に人はいなかったと書かれており、人間を作った創造神とされている。後漢時代に編された『風俗通』によると黄土をこねて作った人間が貴人であり、数を増やすため縄で泥を跳ね上げた飛沫から産まれた人間が凡庸な人であるとされている。また、『淮南子』「説林訓」には七十回生き返るともあり、農業神としての性格をも持つ。


天地修復

淮南子』「覧冥訓」には、女媧が天下を補修した説話を載せている。古の時、天を支える四極の柱が傾いて、世界が裂けた。天は上空からズレてしまい、地もすべてを載せたままでいられなくなった。火災や洪水が止まず、猛獣どもが人を襲い食う破滅的な状態となった。女媧は、五色の石で天を補修し、大亀の足で四柱に代え、黒竜の体で土地を修復し、芦草の灰で洪水を抑えたとある。

原文
淮南子』「覧冥訓」の女媧神話
http://londonbridge.blog.shinobi.jp/Entry/389/

「子供向け」ということだが…

監督本人は「崖の上のポニョ」は「子供向け」と強弁しているけれど、どう見ても「大人」と「老人」のリピーターにしか受けないような気がするなぁ。