日本学術会議による代理出産に関する報告書が公開され法務・厚労両省へ提出

PDFで公開されました。

代理懐胎を中心とする生殖補助医療の課題―社会的合意に向けて―(PDFファイル)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t56-1.pdf

70ページもあるのかぁ…、と思ったら実質30ページほど。 用語解説・参考文献などがいっぱいくっついているだけだった。


以前から産婦人科学会・厚労省日弁連が主張してきた「代理出産原則禁止」という流れに沿った報告書だった。
推進派・容認派を「少数意見」として扱い、それに対しての「反論」という印象。


ぶっちゃけ、代理出産をやめそうにない諏訪マタニティークリニック 根津院長と、彼や向井亜紀を応援しているマスコミ向け報告書と感じたな。
報告書後半の丁寧な用語解説が、そういった印象をさらに強めている。


代理出産を切望する人にも、それなりの配慮はしてある」ということで「試行」を検討することになっている。
「試行」というのは、かなり奇妙である。 会議が空中分解しないための方便としか思えないぞ。
「諏訪マタニティークリニック以外の方法を作るかもしれないから、とにかく国内での代理出産を思いとどまってくれ」という感じなのかもなぁ。



原則禁止派と容認派の溝は深い、ということを感じたな。
まぁ、「議論のたたき台」とか「法案作成のための報告書」という感じではないような印象。 これがすぐに法案作成につながるとはとても思えないな。


というか、ストップ根津院長のための報告書でしかないと思う。

日本産科婦人科学会代理出産を認めていないのだから、根津院長さえストップできれば、ぶっちゃけ罰則付き法律作成の必要性は低いような気がする。
というか、公然と日本産科婦人科学会を無視しつつけている人がいるから、罰則付き法案が検討されるようになっってしまった。


優生保護法や、その改正は議員立法だった。 だから代理出産関係の法律も議員立法になるはずなのだけれど、誰が手を挙げる人はいるのだろうかな?


新聞の論調だと「議員の関心が低い」なんて書かれているけれど、これは中絶問題と比べているのだろうな。
中絶問題はバックがなかなかすごかった。 それと比べれば、代理出産に関心がある人は少数派でしかない。 
特別養子制度のきっかけとなった「赤ちゃん斡旋」、菊田医師の医師法違反事件みたいなことにはなりそうにない。



【資料】
平成15年(2003年)4月の日本産科婦人科学会の見解

代理懐胎に関する見解
http://www.jsog.or.jp/kaiin/html/H15_4.html


2003年4月にまとめられた厚生労働省の生殖補助医療部会の報告書

精子卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/04/s0428-5.html


2007年1月19日に日本弁護士連合会が発表した提言

「生殖医療技術の利用に対する法的規制に関する提言」についての補充提言
一死後懐胎と代理懐胎(代理母・借り腹)について− (PDFファイル)
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/data/070119.pdf