インターネットに実名がデフォの名残があったころ

もはや考古学の対象の時代のような(嘘)ころの雑誌『ざべ』1997年1月号の記事より 

「インターネット先住民 v.s. BBS移民」の巻  水谷雅彦


(…略)同じくfjでおきた、日本特有とも思われる論争にふれておきたい。発端は、昨年の10月末にfj.announceに投稿された、「インターネットの会議室(ママ)は、学歴と職歴の自慢大会の場でしかない」という趣旨の記事であった。これに端を発した議論の焦点は、記事本文の冒頭に、「田中@○○大です」と書いたり、署名に所属を明記したりすることの必然性や如何という点にしぼられてくる。もともと研究者間の連絡や情報交換に利用されるのが主であったインターネットのネット・ニュースにおいては、投稿の責任主体をはっきりさせるために実名や所属を明記するのは「あたりまえ」のことであったが、一般にパソコン通信では、実名でなく、ハンドルとよばれる通称を使用するのが「あたりまえ」であった(実名公開を義務づけているネットやフォーラム、SIGもあることはある)。インターネット「先住民」としては、「寝正月権助」などというふざけたわけのわからぬ名前(メールアドレスはAAA12345@niftyserve.or.jpといった記号の羅列になる)で無責任な投稿をNGにしてもらっちゃ困るというところだし、逆にパソコン通信からの「移民」の側からは、なんで趣味の話をするときでも所属を名のらんといかんのか、そもそも電子ネットワーク社会は、現実の社会とは異なって、年齢、学歴、職業、性別といったことに一切関わりなく、自由で開かれた議論ができるからすばらしいのではないか、といった反論が出てこよう。


http://www.fine.bun.kyoto-u.ac.jp/~mizutani/TheBA1.html

実名や所属を明記するという文化圏が、大学や研究期間に存在していた(いる)らしい。


この記事が書かれてから、すでに10年……(唉