総理の辞意は、いつごろ誰が知っていたのだろうか?

麻生幹事長が総理の辞意を月曜日に知っていたと話したことが、政局に影響を与えている。
「なんで慰留できなかったのか!」「どうしてあんな辞め方をさせたのか!」という、町村派の怒りを買ってしまうことになる。

安倍晋三総理の辞任を受けて 麻生幹事長・二階総務会長 記者会見
平成19年9月12日(水)


Q: 総理の辞任について、幹事長にはいつごろどのようなお話があったのですか。
A: 月曜日の午後、役員会が終わった後だと思います。それが最初だったと思います。

Q: 幹事長から、総理にはどのようなお話をされたのですか。
A: 私どもとしては、テロ特はまだまだこれからの話なのでということを申し上げたことを記憶しています。

Q: 役員会後には、総理から何人かの役員にご説明があったのですか。
A: 役員会後に聞いたのは私ひとりです。

Q: 幹事長は、総理に対してどのように答えたのですか。
A: タイミングというのは、今の状況ではないのではないかというお話を申し上げました。

Q: 総理が正式に辞任を決断したのを知ったのはいつですか。
A: 正式に聞いたのは、月曜日といえば月曜日ですし、火曜日といえば火曜日。今日といえば今日なのでしょうけれど。意向は、3日間ではまったく変わらなかったということでしょう。

http://www.jimin.jp/jimin/kanjicyo/1909/190912.html

産経新聞の首相動静で確認してみる。

【首相動静】10日

 【午前】6時9分、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席を終え、オーストラリアのシドニーから昭恵夫人とともに政府専用機羽田空港着。24分、同所発。46分、皇居着。帰国の記帳。53分、皇居発。7時3分、公邸着。10時47分、公邸発。48分、官邸着、執務室。50分から52分、与謝野馨官房長官。11時1分から16分、閣議室で臨時閣議。26分、官邸発。27分、国会着、衆院自民党控室。同党両院議員総会、代議士会に出席、あいさつ。

 【午後】0時2分から10分、衆院本会議場で衆院本会議。11分、国会発。13分、官邸着、執務室。38分、官邸発。40分、国会着、院内大臣室。49分から1時8分、参院本会議場で第168臨時国会開会式に出席。11分、国会発。12分、官邸着、執務室。56分、官邸発。57分、国会着、衆院議長応接室。2時2分から21分、衆院本会議場で同本会議再開。所信表明演説。31分から参院本会議場で同本会議再開。所信表明演説。50分、国会発。52分、官邸着、執務室。4時19分から25分、的場順三官房副長官。56分、官邸発。57分、国会着、院内総裁室。5時3分から24分、自民党役員会。26分から49分、院内大臣室で麻生太郎自民党幹事長。51分、国会発。53分、官邸着、執務室。6時27分から32分、中山恭子首相補佐官。45分から49分、閣僚懇話室前で報道各社のインタビュー。51分、官邸発。53分、公邸着。


【首相動静】9月11日

 【午前】9時24分、公邸発。26分、官邸着、執務室。33分から50分、与謝野馨大野松茂正副官房長官。56分から57分、守屋武昌前防衛事務次官。58分から59分、白須敏朗、小林芳雄新旧農水事務次官

 10時1分、閣僚応接室。2分から19分、閣議。21分、執務室。22分から30分、増田寛也総務相。43分から55分、菅義偉自民党選対総局長。

 【午後】0時3分から27分、小ホールで政府与党連絡会議。28分、執務室。33分から56分、麻生太郎自民党幹事長

 1時10分から15分、太田昭宏公明党代表50分から2時19分、中川秀直自民党前幹事長

 2時37分から46分、津島雄二自民党税制調査会長。

 5時18分から21分、閣僚懇話室前で報道各社のインタビュー。23分、官邸発。25分、公邸着。


【首相動静】9月12日
 【午前】9時48分、公邸発。50分、官邸着、執務室。

 【午後】0時11分から27分、自民党大島理森国対委員長小坂憲次国対筆頭副委員長。40分から46分、与謝野馨官房長官。58分、与謝野氏と的場順三官房副長官が入った。1時3分、大野松茂岩城光英官房副長官が加わった。5分、的場氏が出た。31分、自民党麻生太郎幹事長、二階俊博総務会長、石原伸晃政調会長尾辻秀久参院議員会長、山崎正昭参院幹事長、菅義偉選対総局長が加わった。52分、二階氏らが出た。麻生氏残る。54分、麻生氏が出た。58分、記者会見場。59分から2時21分、内閣記者会との記者会見。22分、執務室。35分から3時40分、岸信夫参院議員。41分から51分、与謝野官房長官。4時47分から5時7分、山本有二前金融担当相。23分、官邸発。24分、公邸着。

注目すべきは、9月11日 1時50分から2時19分、中川秀直自民党前幹事長と総理が面談していること。


このとき何が話されたのかが気になる。中川秀直には辞意を表明していないのかな?
麻生には辞意を漏らし、中川には何も伝えなかったのだろうかな??
相談されていないとすれば、信頼感の差なのだろうか??
中川が辞意を知っていたとしたら、それこそ「なんで慰留できなかったのか!」「どうしてあんな辞め方をさせたのか!」という話であり、知らなかった、体調不良に気がつかなかったのなら、長年同じ派閥や内閣でやってきた者としていかがなものか。
町村派議員が麻生幹事長に怒りをぶつけるのは筋違いだろう。


辞任すれば、同じ派閥の先輩の前幹事長も後始末に奔走するハメになるわけで、実際奔走している。


ま〜、中川秀直が安倍に引導を渡したのではないか、と考えたほうが話としては面白いけど。

これらを踏まえて、もう一回新聞記事を読み直してみる。

ドキュメント自壊:自民党総裁選(その2止) 麻生氏は「はしゃぎすぎた」(毎日新聞、2007/09/15)
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/jinin/archive/news/2007/09/20070915ddm002010086000c.html

自民党総裁選の告示を翌日に控えた13日。幹事長・麻生太郎に、
派閥を譲った衆院議長・河野洋平から元首相・森喜朗に電話が入った。


河野「麻生はどうなるんでしょうか」


森「彼も最後の最後で詰めが甘くて、勇み足を踏みましたね」


河野「そういう感じがしますね」


森「太郎はこれまで、重要なポストをしっかりやっていると思った。自分としても引き立ててきた。
でも福田(康夫元官房長官)が出るとなると話は別ですよ」


森は、周辺にも「麻生には熱が冷めた」と語った。


町村派内には「(首相・安倍晋三の)辞意を以前から聞いていたというなら幹事長としてやることがあったろう」
「安倍さんの辞意をさかなに酒を飲んでいたらと思うとぞっとする」といった声があるほどだ。


総裁選での福田への雪崩現象は、森、前参院議員会長・青木幹雄、前幹事長・中川秀直
参院選当日の7月29日、協議した「福田暫定政権」論に端を発している。


3人は自民惨敗を受け「福田後継首相・麻生は温存」で一致した。だがそのもくろみをつぶしたのは皮肉なことに、
3者会談に先立って安倍に続投を進言し、その気にさせた麻生だった。
麻生は、安倍が辞任表明した12日に「辞意は10日から知っていた」と明かした。この一言が、3人の麻生不信につながった。「はしゃぎすぎた」(青木)「(首相との会談の中身について)ウソを言っている」(中川)など、容赦ない麻生批判が浴びせられた。
さらに安倍の退陣・入院が、福田の逡巡(しゅんじゅん)を吹っ切らせた。福田は森に言った。
「昨年の総裁選は安倍君も出ていて、安倍のことを考えた。でも今回は違う。国家や党の危機だ」。
一度はたもとを分かった前首相・小泉純一郎や疎遠だった中川との復縁にも成功した。
中川は14日、出身派閥の町村派の総会で、派閥復帰を了承された。中川は05年の政調会長就任時に派閥を離脱。
幹事長辞任後も「当面は派閥に戻らない」と距離を置いていた。福田出馬で町村派は結束を強めた。

【追記】
「TBS報道特集/総裁選-麻生・福田両候補のスタジオ生討論」で麻生氏がこの時間軸について言及していた。
中川氏は11日に打ち明けられ、そしてそれは森元総理に伝わっていたはず、とのこと。