中沢新一読書メモ

哲学の東北

哲学の東北

腰巻きにいわく「夢見る大地の唯物論
憲法九条を世界遺産に (集英社新書) で宮沢賢治の話が出て来て、ちょっと意表をつかれたけれど、中沢新一宮沢賢治への興味は、そうとう初期からのものなんだなぁ。
太田光は「雨にも負けず」の賢治が好きそうなんだが、中沢の興味はもっと別の所にあるようだ。


科学技術と魂については、中沢の祖父 中沢毅一繋がりなのかな?
宗教と国体論とマルクス主義と科学・生物学というのは、宮沢賢治と共通した問題意識なのかも。


賢治のイーハトーブとか「イギリス海岸」とか、童話の主人公の名前などの言語感覚ってのが、今にして思えば微妙。 オウムの宗教用語やホーリーネームのセンスに、どこかで繋がっているみたいだ。


中沢の「東北」という言葉の使い方も、一種独特だった。
ひところ吉本隆明が言ってた「アフリカ的」、梅原猛の「縄文的」と同根なんだろうなぁ。


宮沢賢治については、こっちの対談でも話題になっている。
http://www.chugainippoh.co.jp/NEWWEB/n-taidan/taidan3.htm

緑の資本論」収録の「圧倒的な非対称」の解説といった感じ。
宮沢賢治「氷河鼠の毛皮」911の関係について、語っている。

日本人は思想したか

日本人は思想したか

凄い題名だな 
95年6月出版だが、鼎談はその1年くらい前のものを集めたもの。 後書きに地下鉄サリン事件のことが触れられている。


10年くらい前に一度読んでいたはず。 読み返そうかなぁと思ったが、なんかパラパラとページめくっていったら読む気が失せてきた。

内容(「BOOK」データベースより)
縄文人弥生人、反目から共存への図式。「あいだ」の表現としての歌。城壁なき律令国家の誕生。仏教変容の宇宙的規模。「近代の超克」は、更なる超克へ…。極東のこの島国で連綿と演じられてきた精神のドラマ。その独自性と真価を、広く世界をも見すえつつ徹底検証する。常に時代と切りむすんできた三知性が集い、火花を散らした全記録。五つの鼎談が今、価値大転換期の混迷を照らす。

この鼎談で語られていた考古学・民俗学的な知見は、その後の調査でかなり古くなっているような気がする。
さらにいえば、サリン事件で問い直されている部分も多い。



「哲学の東北」も対談がメイン。 この本は鼎談。 そのほか、講演を元にした本も多い。
そういう面では、読みやすいともいえるけれど…



80年代から現在に至る中沢の軌跡や背景は、こっちの本を読んで再確認した方がいいのかな、なんて思う。

集中講義! 日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか (NHKブックス)

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