【書評】三位一体モデル TRINITY
椅子のある本屋で、立ち読みというか座り読みで、とりあえず眺めてみた。
講演を元にした本で、平易な語り口だし、そんなに文章量が多いわけでもないので、まぁ最後まで読み切ってしまった。
- 作者: 中沢新一,ほぼ日刊イトイ新聞,赤瀬川原平
- 出版社/メーカー: 東京糸井重里事務所
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: 単行本
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出版社/著者からの内容紹介
(…)
もちろん、最新の中沢理論への知的興味から、
手にとっていただいても読み応えのある内容となっていますが、
とりわけ、私たちのくらしのなかの
身近な問題に引きつけて考えることもできるので、
役に立つビジネス書として、
あるいは、自己啓発の手びきとして、
多くのかたにお読みいただきたい一冊です。
平易な話し言葉で語られる「三位一体」から、
きっと、いろんなヒントが、見つかるはずです。
という事だそうだが…… ビジネス書・自己啓発かぁ…
確かに中沢氏はビジネスがうまいのかもしれない。
次はこれが書籍化されるのかな?
ほぼ日刊イトイ新聞 - はじめての中沢新一。http://www.1101.com/nakazawa/
本格派「カイエソバージュ」シリーズと、軽いものとして新書とか小説などの両方向でやっていくのかな。 本書は「本格的な思想家」が書いた軽い読み物、という売られ方みたい。
最近の中沢氏のキーワード「対称性」と、この「三位一体」思考モデルを駆使して最近の世界情勢を論じたのが、12月6日の日経夕刊、中沢新一インタビュー記事ということになるのだろう。
http://d.hatena.ne.jp/LondonBridge/20070405/1175754524
中沢氏が現代世界をいかに分析しているかといえば
これらの対称性を、イスラム教・キリスト教・「非宗教」を「三位一体」という思考モデルで解決策を探る、ということのようだが…。
最近中沢氏は、資本主義の発生についていろいろ語っているようなのだが、マックス・ウェーバーは当然のように無視されてるなぁ。
これで「それなりに何か分かったような気がする」という人もいるんだろうなぁ……。
EUの加盟問題で揺れるトルコとか、移民問題を抱える欧州で、このインタビューはどう読まれるだろうかなぁ、などと思った。 「日本を代表する思想家のインタビュー」などと紹介されたら、えらく恥ずかしい気がする。
微妙に気になったのは、以下の部分。
キリスト教の世界とイスラム教の世界が深刻な対立の様相を見せる中で、日本人は非常にいい立ち位置にいるのではないか。それは「非宗教」で、宗教的な対立にあまり大きな意味を置かずに、客観的に見ることができるからだ。経済を非宗教の立場で再構築することもできるはずだ。
まぁ、「日本人としては、日本外交に期待したい」という、当たり障りのない話でしかないのかもしれないけれど…
イスラム教を信じると貧乏になる。キリスト教を信じると地球は破滅する。日本から救世主が現れる。
と唱える新興宗教みたいに、みえないわけでもないかもしれないかも