【書評】憲法九条を世界遺産に (集英社新書)

私の中沢新一読書歴といえば、『チベットのモーツァルト (1984年)』は一応読んではいる。 よくわからなかったが、釣られてカスタネダも目を通したけど、いわゆる分からないと言う意味での「禅問答」という印象しかなかった。 それ以降ニューエイジといえば「音楽のこと?」という感じ。

雪片曲線論 (1985年)』に収録されている「ゴジラの来迎」「ゲームフリークはバグと戯れる」は雑誌掲載時に読んだような気がする。

『宗教入門』1993.2 マドラ出版。 この「夜中の学校」シリーズはいくつか読んでいる。 う〜、懐かしくも恥ずかしいニューアカにかぶれてたあの頃。


雑誌クレア連載の『ファンダメンタルなふたり』(山田詠美との対談)は、毎月読んでいた。 当時のクレアはファッション雑誌と言うよりは、かなりサブカルっぽい紙面だった。

中沢新一については、「対談がうまい人」という印象が強い。
だから太田光との対談は、ある意味懐かしく感じたな。

ちなみに「ファンダメンタルなふたり」の後継連載対談がナンシー関大月隆寛地獄で仏 (文春文庫)」。


1995年当時の発言は、それなりに追いかけてはいたが…
その後は、ばったり読まなくなったな。


SIGHT別冊 「日本一怖いブック・オブ・ザ・イヤー2005」 (別冊SIGHT)で、対称性人類学 カイエ・ソバージュ 5 (講談社選書メチエ)がえらく持ち上げられていた。
高橋源一郎がほめるのは分かるが、斎藤美奈子まで…というので、試しにアースダイバーを読んでみたのだが、感想は→ http://d.hatena.ne.jp/LondonBridge/20070401/1175421697


爆笑問題は、ブレイク当時は面白いと思ったが、やたら本は出す・TV出過ぎで食傷気味。
最近はほとんどTVバラエティも見ないからなぁ。
ここに爆笑問題の日本原論 (宝島社文庫)のネタがいくつか転載されてます  http://d.hatena.ne.jp/Maybe-na/20061225/1167067598


さて、それで本書のことだが…
『ファンダメンタルなふたり』続編と思えたな。 半分は本気なんだろうが、半分は「芸」だろう、と。
まさに「神学論争」を、真面目な顔してやっているような奇妙な滑稽さを感じた。
「芸」として読めばそれなりに面白いが、政治・思想の本として論じる気にはなれない。


奇跡的存在の日本国憲法世界遺産にするというならば、同じ論法でオウムのサティアン世界遺産にするべきだろう。 チベットと中沢とオウムという奇跡的な出会いの産物、アジアの悪智慧と科学の結晶だ。


いろいろネットで感想を眺めてみたが、芸人・太田光の感性を、思想家・中沢新一が理論付けした本、みたいな読まれ方をされているような印象だった。
私の感想は、中沢新一は、太田光に便乗する芸人路線に活路を見いだしたのかな、というような感じ。


最近の中沢新一を考える上では鍵となる本ではないかと思える。 対談という形式のなかで、いろいろ気楽にキーワードを語っているようだ。

あと、太田光はそのうちに右旋回(?)するじゃないかな、という予感を感じたな。