【書評】中沢新一「アースダイバー」

アースダイバー

アースダイバー

読んでいて、えらく腹が立った。 科学的にも歴史的にも人類学的にも、ものすごくいい加減な本で、ページをめくるたびにツッコミを入れたくなって、読むのに疲れた。
遠い過去と現代がいきなり論証もなく直感で直結されて、江戸時代はおろか明治の都市計画、関東大震災、戦災や高度成長期の都市計画もなにもかも無視していたような印象。
週刊現代連載というのを知って、なるほど納得。 いわゆる学術的な考察ではなく、読み物や写真で見せる面白さを目指して書かれていたのだろう。


これが桑原武夫学芸賞かぁ…。 約束された場所で (underground2)がかつて受賞しているが…  

梅原猛鶴見俊輔河合隼雄が選考委員。 確かに彼ら好みな本だとは思うが、選者も耄碌したなぁと、かなり強く思う。

特に梅原猛が好きそうな本だな、なんて感じる。 梅原の歴史物は「大胆な仮説」と評されているけれども、「小説」として読まれるべきだろう。

鶴見俊輔の場合、本の中身よりも中沢の政治的立場を支持したんじゃないか、などとも感じる。