NHKBSHi「ハイビジョン特集 シリーズ 東京モダン『萌えの心臓』」

「萌え」というよりも「やおいってなに?」を探るドキュメンタリーだった。

インドの若手監督、バラットゥ・ムルティ監督が、漫画同人雑誌の世界に「萌え」の秘密を探る。
毎年3日で数十万の若者を集める漫画同人誌イベントに、出品し続ける女性作家たちがいる。敦子さん、結婚十年の専業主婦。若いころ投稿作を「自己中心的」と批判され、作品や自身の性格に悩み、でも今もマンガを描き続ける。えり子さん、パソコン・オタクっぽい夫との暮らしをネタに創作、若者のカリスマに。作者、読者が共に夢中になるのは「男の子どうしの恋愛」を描くジャンル「BL(ボーイズラブ)」。その読み手、書き手は女性が多く「腐女子」と呼ばれる。なぜBLに夢中に?なぜ数十万の若者が集まる?マイナーに思えることが、メジャーになる仕組みは何?イベント関係者は「インターネット時代なのに、イベント会場に物理的に人が集まるところに秘密がある」と言う。インド人監督は秘密の答えを求め、自宅でペンを握る作家へ、同人誌の印刷に腕を見せる街角の印刷技師へ、大新聞の記者へ、路上を歩く少女たちへ、そして恋愛漫画の大家、萩尾望都へ問いかけ続ける。「萌(も)え」って何?と。


http://www.nhk.or.jp/tokyomodern/onairdate.html
1月26日(火) 午後8:00〜9:50
再放送:2月2日(火)午後2:00〜3:50


サイトに掲載されている監督の写真は、ドキュメント最後のヒゲを剃った姿。 取材を進めるうちに、ヒゲを剃ることになったw

前半はコミケ風景と女性同人作家とか、池袋乙女ロードに買い物に来た腐女子へのインタビューが続く。
謎のヒゲインド人男性監督がBLとか腐女子文化について聞く姿に、女性たちはかなり緊張気味で表情が硬い。


途中に男性スタッフたちが「やおいって知らない」と告白。 数人のスタッフで取材して居るんだけれど、通訳の一人以外は女性スタッフの姿が見えない。 たぶんもう一人ぐらい女性コーディネーターは居たと思うけれど、男性で外国人ってことで、かなり警戒されているような雰囲気。


中盤でBLの作家さんに似顔絵を描いてもらうのだけど、そのとき「監督もマンガ描くんでしょ。描いてくださいよ」と振られてる。
で、監督が描くんだけれど、これがちゃんといまどきの日本のマンガ画になってる!!

ここでようやっと、「謎のインド人男性監督」じゃなくて「同時代を生きるドキュメンタリー作家」として取材先の人たちと馴染んできたように感じたな。


萩尾望都森川嘉一郎が、なんちゅうか基調となる解説を担当という感じ。
森川嘉一郎の「聖地巡礼」の解説がちょっと腑に落ちなかったりはするが、まぁ初心者向け801文化紹介としては妥当かな。


全体に「静か」な感じの日本の風景が映されていたな。
いわゆる「アキバ系」とは違う801の文化を、うまく拾い出していた。