国籍法とDNA


国籍法改正について、いろいろとネットで騒がしい。
コピペがうざい。 FAXをあちこちに送りつけさせているようだが、コピペが大半みたいだ。


この騒動ってのは、光市母子殺害事件弁護団懲戒請求を行うようにと煽っていたのと似ているような印象。
まるで「移民法」を論じているような感じだ。


最近フランスの移民法が改正されたけれど、今回の国籍法はそれとはかなり趣旨が違うし、かなり限定的な改正なわけなのに、なぜこんな騒動になっているか疑問を感じる。

フランスにおける 2007 年移民法 -フランス語習得義務から DNA 鑑定まで- 鈴木尊紘
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/237/023702.pdf (1,758,334 bytes)

改正反対派の主張の中で気になるのは、妙にDNA鑑定にこだわっていることだ。
「DNA鑑定による遺伝学的親子関係を法的な親子関係として認めるのは当然の流れだ」というのが、すでに前提になっているみたいだ。


フランスはDNA鑑定に関しては、かなり慎重だった。

《時評》フランス「生命倫理法」の追跡(1)〜移民法改正:DNA鑑定と親子関係の理念〜
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=187

フランスにおける親子関係の理念と生命倫理
 フランス法において、親子関係は遺伝的なつながりだけによって決められているのではない。親子関係の成立の形式には、①両親が婚姻関係にある場合は法律の効果、②認知、③公知証書による身分占有、④裁判によるもの(養子縁組など)がある。身分占有とは、実際に血縁があるかどうかにはかかわりなく、育てている大人と同じ姓を名乗り、その人の子どもとして扱われ、周囲にも親子であると思われるような、家族として暮らしている実態を指す。


 生命倫理法においても、安定している男女のカップルが不妊などで、カップルの間で体外受精などの生殖補助がうまく行かなかった場合には、第三者から卵子精子または胚の提供を受けることができる。その際裁判所において、提供者は生まれる子との間に親子関係が成立しないこと、受領カップルは親子関係に異議を申し立てられないことを確認した上で、それぞれ提供・受領に同意しなければならないとしている。


 このようにフランスでは、親子関係は血縁以外によっても成立しうる。そこでは、親として子を大事に育てようという意思の確認が重視され、子にとってよい状態が得られるよう配慮されている。こうした親子関係のあり方についての理念は、生命倫理法の重要な根拠の一つであり、それを守るために、遺伝的血縁のみを重視するDNA親子鑑定の実施に厳しい枠をはめているのである。

「①両親が婚姻関係にある場合は法律の効果」ってのは、ぶっちゃけていえば、不倫の子の扱いに関しての規定。
遺伝的関係を調べて揉めるのは子供の福祉上よくないから、法的な婚姻関係にある者を父親にする、というのが原則となるみたい。


そのフランスがDNA鑑定を移民法に持ち込んだので、結構注目されているわけなのだが…




それにしても…
日本も、なぜそんなに「遺伝子」にこだわるようになってきたのだろうか?
男系天皇Y染色体」と似たようなニオイを感じるなぁ