「日本は三権分立ではない」という持論の人が総理大臣

「革命だ」と言い出す人が多いのも、これじゃぁしょうがない。


この問題を国会でもう一度取り上げてほしいな。
長年の盟友でもある枝野幹事長の見解ははどうなんだろうかな?


それにしても民主党の使う[主権」という言葉の意味が、どうもわかりにくくてしょうがない。


【追記】
管さんによる民主党の権力の形の解説

 そのうえで、国会議員は立法を行い、内閣の仕事は基本的に官僚に任せるという政治のかたちが、政権交代によって変わったと指摘。「国会で多数の議席をいただいた政権党が、立法府でイニシアチブを取るだけではなく、内閣も組織する。あえて言えば、立法権と行政権の両方を預かる。そして4年間のなかでその結果を、次の選挙で国民の皆さんに審判をいただく、そういうかたちの鳩山政権が誕生したことによって、これまでとは全く風景の違う政治の姿になった」と説明した。

2009年10月9日 連合結成20周年レセプションにて
http://www.dpj.or.jp/news/?num=17073

以下国会答弁
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/174/0060/17403180060003c.html

174-参-財政金融委員会-3号 平成22年03月18日


林芳正君 自民党林芳正でございます。
 大臣、お疲れだと思いますが、もう一時間ちょっと、二時間ぐらいでございますので、お付き合いいただけたらと思います。ちょっと峰崎副大臣外されましたので、まず大臣に。
 先ほどの同僚の愛知議員の御質問の中で、これは財務大臣としてというよりも副総理としてどこかでお聞きしたいなと思っていた話がちょっと出たものですから、御通告は申し上げておりませんが、ちょっとお聞きしたいと思うのは、憲法のお話がございました、日本国憲法
 三権分立というのはどこにも書いていないんだと、これは菅大臣の昔からの御持論であるかというふうに受け止めておりますが、日本国憲法三権分立が書いていないということは、大臣おっしゃっているんですが、ということは、日本国憲法は日本には三権分立というのを想定していないという意味でおっしゃっておられるんでしょうか。


国務大臣菅直人君) これは私大好きな議論ですので、何時間でもいいんですが。
 つまり、この間の日本の国会と内閣の関係をほとんどの人は三権分立で説明するわけです。例えば、私が一年生議員のときに官僚の皆さんがやってきて、先生は国会議員ですから大いに法律とか予算の議論はしてくださいと、しかし国会は、行政ですから、それは余り行政には口を出さないでくださいと、そういう趣旨のことを言われたことがあります。つまり、行政イコール、まあどちらかといえば大臣プラス官僚、国会は国会議員が議論する場と。つまり、国会議員と内閣というものは、今でもほとんどの人がそういう言い方をしますが、立法府と行政府という形で独立した存在だということを前提にして、私は、そのことが実は日本の官僚内閣制のその背景にあると、このように思っているわけです。
 いろんな議論を過去にはやりました。一つだけ例を挙げますと、私はある時期、さきがけでしたか野党でしたか忘れましたが、アメリカにあるGAOのような組織、つまり会計検査院を国会につくろうと思って法案を作って出そうとしたことがあります。そのころは総務庁でしたが、行政監察局を廃止して、その定数をこっちへ持ってこようと思ったんです。
 猛烈な反対に遭いました。そのときに彼らが理論を立てたのは、国会に置くというのは憲法違反だと言うんですね。なぜかと。つまりは、勧告とかなんとかを、税の使い方がおかしいときにGAOのようなものをつくってやったときに、それは行政行為だと。国会が行政行為をするのは憲法違反だと、三権分立違反だと言うから、私、そのときの局長を呼んで、じゃ国会が行政のトップを選ぶのは憲法違反なのかと。もちろん憲法違反と言えませんよね、総理大臣を選ぶのは。
 つまり、議院内閣制においては、国民主権、私は三権分立ということを単に否定したいんじゃないんです。国民主権というものから成り立っている今の制度を三権分立という壁で阻んでいるから、それは憲法違反だと言っているんです。つまり、国民は、アメリカの大統領制なら直接大統領も選びます、議員も選びます。ですから、大統領と議会は対等でいいんです。しかし、日本の議院内閣制、イギリスの議院内閣制は、国民は直接は総理大臣を選びません、国会議員を選ぶんです。
 国会議員の第一の仕事は何ですかと私よく学生さんに聞くんです、わざと。ほとんど、法律を読んでいる人、特に東大法学部なんか出ている人は百人に百人、国会議員の仕事、国会の仕事は立法ですと言うから、もっと重要な仕事があるんじゃないですかと言ったら、ほとんど答えが出ません。国会議員の最も重要な仕事は、総理大臣を国民に代わって選ぶことなんです。つまりは、国会議員の仕事というのは、日本のですよ、アメリカでいう大統領の選挙人の仕事と、アメリカのいわゆる国会議員の仕事の二つがあるんです。
 しかし、日本ではその片方は首班指名というイベントで言われているだけで、その選んだ後の総理大臣とあとの大臣は川の向こうに行って、つまり国会から向こうの行政に行って、そこは言わば、官僚を良く言えば使う、悪く言えば官僚のおぜん立てに乗って動く。ですから、税調もそちらはお任せします、税調に、しかしこちらは党としていろいろ物事を決める、だから二元化になっている。
 ですから、そういう意味で、三権分立ではなくて、私は、日本の憲法は三つの機能が分かれていると。これは、先日、ある方の質問主意書にもお答えしました。つまりは、確かに行政の機能は六十五条にあります。司法の機能は何条か忘れましたがあります。しかし、国会は立法府とは書いてありません、よく御存じだと思いますが。国会は国権の最高機関にして唯一の立法機関であると書いてあるので、最高機関と書いてあるのはなぜか。
 芦部憲法学では美称説とかなんとか多分書いてあるでしょう。大間違いです。国会は、国民が直接選んだ国会議員で構成されているから他の二権よりも権力的には上にあるんです。機能は違いますよ。ですから、先ほど申し上げた芦部さんも、ほとんどの憲法学者は国会の最高機関であるという意味を美称説と書いてありますが、それは根本から日本国憲法の理解が間違っているという意味で申し上げました。


林芳正君 お説は何となく分かったような気がいたしますが。芦部説は政治的美称説でありますが、憲法には当然、国会は立法機関であるとともに総理大臣を出して行政府をコントロールすると。
 私は、一般的な理解としては、そのことも含めてやっぱり立法府の権能がきちっと書いてあって、行政府は行政府で書いてあって、司法は書いてある、このことをもって日本国憲法三権分立というふうに言っているというのが私の解釈でございますし、それほど少数派だとは思っておりませんが、菅大臣は、それは政治的美称ではなくて、国権の最高機関だから行政よりも立法でというか、国会が上にあって行政をコントロールしなければいけないと。そういう意味では、純粋な行政府と立法府というのはイコールではないというような御意見だというふうに拝聴いたしまして、ちょっとこの議論をやっていると、これ面白いんですけれども、本筋でありませんので。
 議院内閣制の国はじゃ全部そうなってしまうのかなということがございますし、それから、もう一つだけちょっと、三権分立というふうに、逆に憲法に我が国は三権分立ですと書いてあるという国はどこか御存じですか。


国務大臣菅直人君) いや、私は、先ほど申し上げたように一般的には憲法をそう勉強しておりませんから。ここの部分だけやっていますが。
 私が見るところ、書いてあるか書いていないかは別として、大統領制、つまりアメリカの場合は、いわゆる一般に言われる三権分立、一般に言われるですよ、に当てはまると。それは国民主権に反しないからです、先ほど言ったように。国民が大統領を選ぶからですね。ですから、知事とか市長もそれでいいんです。
 しかし、議院内閣制は、つまり総理や大統領を国民が直接選ばない制度の場合は議会の議員を選ぶわけですから、その議員が選ぶ、上とか下というよりも、議員が行政を選ぶんですよ、トップを。ですから、多分イギリスでは与党という言葉は使いません。ルーリングパーティーですから政権党です。与党という言葉は、これは私から言うと明治憲法的言葉です。なぜかと。つまり、総理大臣を天皇が決めて、その総理大臣にくみするのが与党。あるいは、東京都議会でいうと石原さんにくみする政党が与党なんです。ルーリングパーティーじゃありません。政権党じゃありません。
 しかし、議院内閣制というのは、多数を握った政党が自分たちのリーダーを行政のトップにして自分たちで内閣をつくる。それに一番ふさわしい形がイギリスですし、先ほど、当たっているかどうかは別として、いわゆる三権分立、行政権と立法権が別々で国民から直接選ばれているという意味ではアメリカが一番モデルになる国だと思っています。


林芳正君 そのアメリカの憲法にも三権分立というのは実は書いてございません。主要国の憲法には、イギリスは御存じのように、御存じかどうか、御専門ではないということですから、成文法の憲法はございませんが、主要国には三権分立の思想は全部入って、三権分立の思想で憲法は書かれておりますけれども、我が国が三権分立ですと条文で書いている国というのはないんですね。
 ですから、実は、それぞれの三権をどういうふうに抑制、均衡させるかということは、大統領制や議院内閣制、いろんな抑制と均衡の仕方があるんですが、しかし、一つのところに権力が集中しないようにする。その人が誤った場合に結果として国民が虐げられてきたという歴史の中で人類の知恵が三権分立を生み出してきたという意味では、この三権分立というのはどこの国の憲法にも思想としては流れていて、それを条文でそれぞれの立法府、行政府、司法府の機能として抑制、均衡されているというのが私の理解でございますので、ちょっと菅大臣は──じゃどうぞ。


国務大臣菅直人君) 私は、その三権の抑制という考え方が理論的には間違っていると思います。つまり、国民主権なんですよ。つまり、この憲法、どう見たってすべて国民主権ですから、日本の憲法は。
 ですから、実際にはじゃ最高裁判所の長官はだれが任命しますか。実際には総理大臣じゃないですか。しかし、機能が違いますから、まさに司法権を自分の、アメリカはかなりやっていますけれども、自分の党の関係者ばかり送り込むなんということは、それは機能の違いとしてやらないことが一般的ですけれども、形式だけで言えば、じゃなぜ総理大臣が最高裁判所の判事を選べるんですか。
 私は、国民主権の下での均衡というのは、あえて言えば任期があるということですよ。四年間という任期が衆議院にあり、参議院には六年間という任期があって、その間は多数を得た政党が中心になって行政権を握り、場合によっては立法府も、多数ですから、議院内閣制の場合は、立法権も実質的に握り、さすがに裁判所は一遍にそういうことにはなりません。ですから、裁判機能は若干違うと思います、行政と立法とはですね。
 しかし、基本的に握るけれども、その間衆議院首班指名の優先権で、衆議院でいえば四年間が最大限で、その間にやったことを主権者がもう一回チェックするのが独裁とかそういうものに陥らないためのまさに最大のルールであって、何か立法府と行政府がせめぎ合ってということではなくて、機能は違いますからいろんなことで役割がお互いあることは当然ですが、それが牽制し合って何とかするという考え方は、私は国民主権の考え方とは違っている。明治憲法のことを話すともうちょっと違いますけれどもね。明治憲法もなかなかよくできている憲法ですから。


林芳正君 お考えは半分ぐらい分かったような気がいたしますのでこれ以上、憲法の委員会ではございませんので、財政金融委員会に戻りまして、…