総括には速すぎたシンポジウム

ネット世論に信憑性はあるのか?」インターネット選挙の今後を議論
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2007/07/31/16500.html


メディア・イノベーションの衝撃―爆発するパーソナル・コンテンツと溶解する新聞型ビジネス」の出版記念シンポジウムだそうだ。
選挙後いちはやくシンポジウムを開く意欲だけは、まぁ評価するけれど、もうすこし選挙結果の分析が出てから、選挙後の動向を見極めてから開いてもいいのではないか?
新聞記者出身のせいか、速いことはいいことだという価値観がしみついているのだろうか。

 「ネット選挙と騒がれたが、全然盛り上がらなかった」と語るのは佐々木氏。前回の総選挙では、小泉前首相を支持する意見が多かったインターネット上の言論と、マスメディアの意見が対立する構図が見られた。しかし、今回の参院選では、マスメディアとネットの世論が、「自民党けしからん」という意見で一致。対抗する言論が生じる余地がなかったことから、インターネット上の言論が盛り上がらなかったのではないかと分析した。

そもそも、誰がどこで「ネット選挙」と騒いでいたのだ???  2005年にはそれなりの動きがあちこちで有ったけれど、今回の選挙では特にそんな動きは感じられなかった。
「あるある」事件の記憶もそれほど醒めていない時期だから、ネットのヘビーユーザーのメディア批判は激しいままだ。 むしろ、選挙結果を受けてネットの左右両陣営からメディア批判は高まっているのではないか? 民主党大勝後のマスコミが、民主党に注文を付けるような論調に変化しつつ有ることについての批判が、両陣営から出てきている。*1

盛り上がらなかった原因のひとつは、選挙の争点が今ひとつはっきりしなかったからではないのか?
2005年は「抵抗勢力」という分かりやすい言葉があったけれど、今回は政策論争では盛り上がらなかった。 安倍総理は「戦後レジュームからの脱却」と「憲法9条守る国民投票」が対立軸だと思っているみたいだ。 どっちも有権者からは関心を持たれずにいた。

選挙結果から見れば、地方の反乱といえるのではないか?


あとは、「自民党けしからん」のネタが次々と出てきた。 「産む機械」「なんとか還元水」「しようがない」「絆創膏」「アルツハイマー」etc
年金・格差が争点と言うことにはなっていたけれども、政策論争よりもスキャンダル叩きがメインだったような印象。

 インターネット上の選挙活動については、民主党小沢一郎代表が出演した「ニコニコ動画」のコメントが“炎上”状態になったことを引き合いに出し、「インターネットには善意も悪意もある。今までマスメディアだけを相手にしていればよかった国会議員が、どれだけ耐えられるか」という試練が出てくると指摘。「今後は公職選挙法改正の動きが高まりそうだが、このような問題が出てきて、『やっぱりネットはダメだよね』となる可能性もある」との考えを示した。

炎上に関しては、永田ガセメール事件当時の民主党議員blogが凄かった。 にもかかわらず(?)民主党は法案を出している。
今回は、ニコニコ動画事件の他には、選挙終盤に民主党秘書のblog炎上事件が有った程度じゃないかな。


それにしてもニコニコ動画の件は、公選法改正の動きをストップさせるほどの事件なのかなぁ???  過去のマスコミ業界人(本人を含む)の炎上事件に引きずられすぎでは?
問題点として議論されているのは以下のことのはず。

  1. デジタル・ディバイドの問題
  2. インターネットの悪用の問題
  3. 三者のインターネット選挙運動に伴う問題
  4. 迷惑メールの発生の問題
  5. インターネット利用に付随する費用の増加の問題


ちなみに執筆者の一人でもある歌田明弘氏が、週刊アスキー連載の「仮想報道」の今週と来週で、ネットと選挙と世耕氏について書くみたいだけど、どうなるのかな?
相変わらず、ネットと本とテレビだけの情報で書くのかな?


『やっぱり情報ネットワーク法学会・デジタルジャーナリズム研究会はダメだよね』となる可能性もあるwww

*1:民主党の公約こそポピュリズムではないか」という指摘が、今更のように出てきたり等