石原慎太郎と少年ライフル魔事件
政治家・有識者の発言の中では、石原慎太郎が一番冷静だったように思う。
秋葉原での通り魔事件について「警察力の強化で防げる問題じゃない。人間の内面の問題。もっと時代の、社会全体の背景がある」と述べ、「(行政として未然に防ぐことは)できませんよ」との認識を示した。都議会本会議終了後、記者団に語った。
石原知事は、事件の経過について「自分の人生をかけたパフォーマンスを、ああいう形で携帯を通じて時々刻々、シナリオを伝達しても誰が読むのか。非常にむなしい」と感想を述べた。そのうえで「昔だったら、こだまが返ってくるっていうか、他者とのつながりがあったけれども、それがあるようでないんじゃないか」と時代背景を分析してみせた。
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20080611ddlk13040303000c.html
「できませんよ」と言うのは、なんというかな…正直な言葉だと感じる。
かえって「未然に防ぐことができるかもしれない」と、ナイフやらネット規制を言い出す方が、無責任な、官僚上がりくさい発想のように思う。*1 *2
秋葉原の無差別殺傷事件、閣僚発言相次ぐ
10日の閣議後の閣僚懇談会で、東京・秋葉原で起きた無差別殺傷事件に関する発言が相次いだ。石破茂防衛相は犯人が携帯電話の掲示板に犯行を予告したことに関して「犯行予告が書き込まれたら技術的に察知して対応できないのか」と述べ、増田寛也総務相は「努力してみる」と応じた。泉信也国家公安委員長は情報入手に努力するよう各県警に指示したと報告した。
国家公安委員長は閣議後の記者会見で、凶悪事件が相次いでいる背景に触れて「警察だけで処理できる問題ではない。社会に傷んだ点があるのではないか」と強調。鳩山邦夫法相は「日本の治安の悪さに大変な危機感を抱く。犯罪に厳しくする姿勢を徹底するしかない」と述べた。(10日 14:03)
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080610AT3S1000O10062008.html
「携帯電話の掲示板に犯行を予告」というあたりで、石原と認識が違う。
まぁ「劇場型犯罪」だから自己顕示性の「犯行予告」だろうという、いろんな識者の発言を受けたうえでの発言なのだろうけれど。*3
小説家としての石原慎太郎は、若者の無差別殺人について何か書いているはず、書いていないわけがない、ということでググってみた。
あっさり、1965年(昭和40年)7月29日に発生した18歳の少年によるライフル乱射事件を題材にした小説『嫌悪の狙撃者』が引っかかる。
少年ライフル魔事件
http://blog.livedoor.jp/kangaeru2001/archives/51335810.html
http://kangaeru.s59.xrea.com/rifle.htm
絶望書店さんによる紹介
少年ライフル魔のルポ。精神鑑定書など掲載。
金を盗んだり、後からイデオロギーで自己正当化しようとした永山則夫とは違って、目的もなく言い訳もしない少年ライフル魔の行動は、私たち大衆の社会への嫌悪を代行した純粋犯罪であると、石原慎太郎は聖性を見出して評価しています。
http://www.zetubou.com/seisin.htm#rifle
たまたま東京の事件だったので、石原慎太郎のコメントが目をひいたのだけれど、他の事件についてのコメントや小説にも若干興味が出てきた。
ちなみに少年ライフル魔事件は、バイオレンス小説*4に影響を受けた犯罪と言われている。 精神鑑定書意見書では「空想と現実との未分化」が指摘されていたりする。
- 作者: 石原慎太郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1981/11/10
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